Murder on D Street…其ノ陸 ページ7
事件も解決、箕浦とも和解した三人は帰路に着いていた。
「凄かったですね、乱歩さん。まさか全部当てちゃうなんて…」
「私も半分くらいは分かったかなー」
「何がです?」
「さっきの事件だよ。乱歩さんがどうやって推理したのか」
太宰の意味不明な言葉に、敦は異能力で分かったのではないか、と尋ねれば彼は思い出したかのように言う。
「嗚呼…、君は知らなかったか。乱歩さんはねえ、異能力者ではないのだよ」
「はい゙っ!?」
「本人は異能力を使っているつもりらしいけどね。それにああ見えて二十六歳だよ」
「え゙!」
聞けば太宰は、乱歩の異能力使用中に彼の髪に触れ、“人間失格”を発動させていたらしい。
異能力を阻害したにも関わらず、事件を解決してみせたということは、彼は一般人で尚且つずば抜けた推理力の持ち主であること。
故に、この事実を知る探偵社の皆が乱歩を尊敬し、子供地味た行為に何も言わないのだ。
「でも本当に、単なる推理で可能なんですか?あんなに短い時間で犯人を当てたんですよ!」
「嗚呼、それなら私も分かったよ」
“偽装のためだけに遺骸に二発も撃つなんて…”
太宰の推理で、犯人しか知り得ない事実を杉本巡査が口にしたのに、納得する敦。
他にも殺害時刻、マフィアの偽装工作が完璧でなかったこと、最期の言葉など、推理出来る所は確かにあるのだが…、
「殺害現場や銃で脅したとかは?」
「そこまではお手上げだよ。乱歩さんの目には、私以上に多くの情報を捉えていたようだから。…過去に解決した事件は十や二十ではない。そして、一度も推理を外したこともない。実に偉大な御仁だね」
すると、前を歩いていた乱歩はクルりと振り向き、
「――あれ?太宰、斎は何処行ったの?」
「え?あ、ホントだ…」
乱歩の言葉に敦が辺りを見渡せば、いつの間にか上条の姿は無かった。
「斎なら署から出る時、もう散歩してから帰ると。全く…病み上がりなのに」
「えーっ!?駄菓子買いに行くの、付き合ってもらおうと思ってたのに!」
「乱歩さん…」
その頃、上条はというと――。
「あの、すみません……これを貴方に渡すよう、頼まれまして…」
『は?』
ぼんやりと何かの銅像にもたれ掛かっていた彼は、突然女性から白い封筒を差し出されていた。
『どんな人だった?』
「えっと、町医者の方…でしたけど」
『っ!……そう、どうも』
封筒に差出人の名は無く、ただ一つ、“麗艶なる死神へ”とだけ書かれていた。
戦場の晩餐を、君と共に…其ノ壱→←Murder on D Street…其ノ伍
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ロット - 更新楽しみにしています。また楽しい展開を待ってます! (2018年3月21日 20時) (レス) id: d561f39b52 (このIDを非表示/違反報告)
ファニー - 更新頑張って下さい!応援しています! (2017年5月5日 23時) (レス) id: ccbe8ec79d (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 匿名さん» このお話にBL表現は出さないつもりです。ただ、念のためということで最初に書いただけですし、前編でも対象にはならなかったのでこのままでいきます。…長々と失礼しました<(_ _)> (2017年3月21日 9時) (レス) id: 4c92540543 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - BL表現が少しでもあるのなら、フラグを立てましょう。違反の対象となります。 (2017年3月20日 22時) (レス) id: 53d4575912 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔夜 | 作成日時:2017年3月20日 20時