検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:30,586 hit

戦場の晩餐を、君と共に…其ノ伍 ページ12

『中也、こっちは終わったけど』

敵の本拠地ビルの屋上に、先に中也の異能力で移動していた上条。見張りの男2人を喰い、残った衣服を隠した後に通信機で尋ねる。

「…よし、こっちも粗方終わったぞ」

下に戻り、部下を配置につかせた彼は、やや間をおいて返事をした。上条が腕時計を見れば、時間まであと数十秒ほど。
昔であればこんな緊張しなかったのに、今は深呼吸をいくらしても収まりそうにない。

「――奇襲開始!!」

しかし、体は勝手に動いてくれるらしい。

中也の鋭い声がするのと同時に、上条はスルッと階下に行く扉をすり抜け、静かに素早く階段を降りていく。

気配を探り、視界に敵の影が3つ現れると、自らの存在を悟らせることなく異能力を発動させる。まず2人が消えると、彼らの持っていたマシンガンが床に落ちた。それに気づいた残りの1人が振り向いたその隙に、背後に回って喰う。

作戦に協力する目的は、あくまで自分の“空腹”を満たすためだから、見回り程度の役割しか与えられない奴らは消してもいいだろう。

(…この階の見回りはあと5人……あの部屋にはもう少しいるか?)

角から様子を窺うと、上条にはまだ気づいていない。ただ、下で暴れているのに対処するので精一杯、といったところだろう。
中也のためにも、早く潰していった方が良さそうだ。

隠れていた場所から駆け出すと、一気に銃口が此方に向けられる。放たれた弾が幾つも体に掠り、酷い時には大穴を空けていった。どれだけ負傷しようと、上条は異能力で動き続けることは可能である。
それに恐れるほんの数秒の間で、彼らの命を刈られていくのだ。

マフィアの首領が冗談交じりに、“死神”と称したのはある意味、的を射ていたのかもしれない。

そんなことを考えていると、いつの間にか1つの部屋以外に、この階には気配が無くなっていることに上条は気づいた。

(頭と4人ってとこか)

目的の扉を堂々と開ければ、ボディーガードらしき者達がマシンガンを構え、奥には怯えて脂汗を垂らす頭が立っていた。

『…撃つなら開けた瞬間に撃てばいいものを』

「そ、それ以上近づくな!!でなければ――」

『撃つって?出来るものなら殺ってみなよ、ほら』

一歩ずつ近づいたところで、彼らは何も出来ない。
上条の期待するようなことは起きない。

どうせ臆病者だ。彼らも、…自分も。


『……やっぱり太宰だけか』


彼はそう小さく呟き、ボディーガードに異能力を発動させ、気絶させた頭を拘束した。

戦場の晩餐を、君と共に…其ノ陸→←戦場の晩餐を、君と共に…其ノ肆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (66 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
145人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 男主 , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ロット - 更新楽しみにしています。また楽しい展開を待ってます! (2018年3月21日 20時) (レス) id: d561f39b52 (このIDを非表示/違反報告)
ファニー - 更新頑張って下さい!応援しています! (2017年5月5日 23時) (レス) id: ccbe8ec79d (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 匿名さん» このお話にBL表現は出さないつもりです。ただ、念のためということで最初に書いただけですし、前編でも対象にはならなかったのでこのままでいきます。…長々と失礼しました<(_ _)> (2017年3月21日 9時) (レス) id: 4c92540543 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - BL表現が少しでもあるのなら、フラグを立てましょう。違反の対象となります。 (2017年3月20日 22時) (レス) id: 53d4575912 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朔夜 | 作成日時:2017年3月20日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。