【鬼灯の冷徹】第二補佐官は狂っている。

狂想15 ページ16

鬼灯side



急に黙り込んだ彼女に違和感を覚え、チラリと視線を向ける。



あぁ。



鬼｢………ちゃんと寝ましたね｣



これで彼女の寝顔を見るのは、５度目だ。



幼い頃、若い頃、宴会、昨日、今。



その中で、こんなに穏やかな寝息を立てる彼女を見るのは、初めてだ。



彼女はいつも、寝ている時、苦しそうな表情をする。



曼珠沙華の彫られた彼女の部屋の扉。そこに立ち、躊躇う事無く扉を開ける。



様々な資料や研究材料が壁や机に所狭しと並べられた室内に、目を細める。相変わらず、趣味の類の物は一切見当たらない。



ベッドに彼女を寝かせ、ハァ、と溜め息を吐く。



そこで、ふと目に止まったのは、金魚草のキーホルダーだった。



私が前に、何となくあげたもの。



彼女は物に、あまり関心が無かった筈だ。



若干驚きつつ、それを手に取る。埃を被った様子も無いようだった。



鬼｢……………｣



少し、頬が緩んだ。



スヤスヤと眠る彼女を、そっと撫でる。



鬼｢…貴女には、調子を狂わされっぱなしですよ｣



絶対に聞こえないであろう、小さな声で、そう呟いた。



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