(仮) forth (ページ9)

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「ところでさ、今ケータイ持ってる？」

急な質問に「え？」って聞き返してしまう。

「だから、ケータイッ」

「ケータイ？あ、いえ。バッグに入れたままなので…」

なんだ？それがどーした？ってハテナが浮かぶ。

「もぉ…ケータイは持ち歩きなさいよ。意味無いじゃない」

ぶつぶつと小言を言う二宮さんが、胸ポケットからペンと手帳を取り出すと、サラサラと何かを書いていく。

「はい」って渡された、手帳から破りとられた紙。なんだろうって受け取って見ると、ハイフンで区切られた11桁の数字と、その下にアルファベットと数字達が並んでいた。

上のはおそらくってか、絶対ケータイの番号。下の段は…

「ＩＤ？」

「そ。LINEね。登録しといて」

何で急に？って思いはしたけど、断るような事でもないから、ひとまず頷いた。

「ソレ、二宮さんのプライベートの方のだから」

「はぁ…ありがとうございます？」

「何で疑問系になんのよ？ってかね、もっと有り難がりなさいよ」

口を尖らせる二宮さんにもう一度お礼を言ったけど、不満顔は治らない。

こういう時どーするのが正解か分からない。ここ数年、アンドロイドの私でしか連絡先の交換なんてやった事ない。

どんなリアクションすれば良かったんだろう…

「…冗談だって。だから…そんな顔しなさんな」

「え？」って顔を上げた私の頬に二宮さんの手が伸びてきて、プニプニと摘ままれる。