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026:何処かの誰かの証明 ページ27







「侑、Aちゃん、何してんの?」




綺麗なテノールだな、と思った。

眼福させてもらっているが、声もいいのは反則だと思う。



「お、角名。お前が図書室なんて珍しいな」



退屈そうな侑くんが頬杖をリズムよくつきながら、角名先輩を見上げた。


「侑から言われたくないし。お前のクラス何考えて侑を図書委員にしたんだろうね」



けだるげな表情でそう呟く角名先輩。

どうやらみんな一度は思ったらしい。

きっと2-2は個性派集団だ、ぜひお会いしたい。



「お前そんな!決まっとるやろ、俺を図書室の顔にしたるゆうことや」


自慢気にそう言い切った侑くんの言葉を最後まで聞かず、角名先輩がこちらに向き直る。



一重は辛い。

二重は幸せ。

一本の線でこんなに違う、っていうのを聞いたことがある。


一重でも、この人みたいな目ならさぞ幸せだろう。




一重は愛らしいかんじがして素敵だし。

奥二重も不思議と魅力的だと思う。



「ねえAちゃん、肌きれいになった?」




小首をかしげてそう聞く角名先輩を見て、体が熱くなるのが分かる。

じんわりと、ほかほか。



もともと混合肌という体質で、ニキビはできやすい。

だから正直、少しだけ諦めていた。






でも、変わりたいと思ったから。





肌は、たっぷりのコスパが良い化粧水を包み込むように顔に押し付けるらしい。

あくまで優しく。



緑の第二類医薬品を買って、肌に塗りこんだ。

お蔭でお金は一文無しだけど、なにか変わろうとする気持ちは楽しかったりする。



お風呂を上がったらすぐこれをすること、所謂スピード勝負。



これをひたすら続けていたのだ。





『自分磨き』するうちに気づいたのは、結果を求めすぎてはいけないってこと。



すぐに変わるって期待することは、効果が出ないときにマイナスになってしまうから。

そしたら、きっとまた辛くなる。

やるからには、楽しんでいきたい。



この心得は、『やってたらいつか変わる』。




「ほんとに言ってくれてます?」




火照った頬を冷やしたくて口早にそう聞くと、



「うん、なんか綺麗になった。全体的に」






__これはきっと私の、証明だ。


やれば変われるという、証明。

楽じゃなくても、楽しい道はどこかにあった。

シュミレーションが重なるのって、快感。






でもやっぱり、



「…あの人じゃなきゃ」







最初に気づいてもらいたかった、なんて。

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パルム(プロフ) - らさん» コメントありがとうございます!確かにそうだな、と考えなおしました。北さんに二度目の好きを洩らした後のヒロインと北さんの展開はご想像していただけると幸いです。これからもっとその人物に寄りそう素敵な小説が書けるように努めさせていただきます。 (2021年8月9日 19時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
- んー、2回もヒロインに告白させるのは北さんぽくないなぁ、、、せめて2回目は北さんからの方が綺麗なお話になっただろうに少し残念です。 (2021年8月9日 9時) (レス) id: c2c5a94e17 (このIDを非表示/違反報告)
パルム(プロフ) - 、さん» 教えてくださってありがとうございます!私自身もともと機械などに疎いのですが、うらつくが好きなので投稿させてもらっている次第でした。自分なりに調べてみて、今は外したことになっています。正直すごく不安なので、教えてくださると幸いです。 (2020年8月16日 6時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パルム | 作成日時:2020年8月16日 0時

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