彼女はもともとⅢ (ページ34)

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ぜろ！ページ34

「10歳のテウちゃんはじめまして」

『やめて！』

開口一番に叫んだ彼女にビクッとしつつも、なぜ?と聞くと彼女はやっと僕達の待ち望んでいた名前を述べた

『私はA=A…その名前で呼ばないで…』

カチカチと歯を鳴らし、震える彼女の手を握りこんだナワーブが見えた。

「それはすまない。ここでする話じゃなかったな。」

全くです…とひと呼吸おいてから彼女は笑った

『…それで、今日はなんの御用でしょうか、洗礼ですか?懺悔ですか?神はすべてを許してくださいます』

神様を信じていないくせに聖女になる気分はどうだと聞いてやりたい気分になる。
でもあまりにも彼女が可愛そうで

「ね、君と話がしたいな。」

『えーと…懺悔になるのかなぁ…』

彼女は微笑んでいいですよ、と
そこの席でお話しましょう。と

微笑んだ

今日は冷え込みますね、と他愛のない話から始まった会話はすぐに自分の過去のことへと向かう

「何かあったのかい?」

『…私は大きな罪を侵したのです。
だから許されない名前で、よんでほしくないのです。』

「詳しく聞いても?」

しばらくうーんだの、うーだの言っていたが

『…わかりました』

と覚悟を決めて話し始める

『話せば長くなりますが…
私の母はオペラ座の華。父は画家。
11人の兄弟に恵まれた二人。

でもその内私と妹は兄弟達と血の繋がった家族ではないのです。

私の兄弟の父は貴族の絵描きという一風変わった人でしたが、本当は人間専門のブリーダーで私の一家は
ペット(にんげん)を作りそれを売る事で金銭を得る貴族でした。

私は幼い時から洗脳に近い暴力的な躾と、異常な愛と理想を押し付けられ、壊れる前に姉と家を飛び出したのです。

結果、姉の裏切りでひどいものになりましたが

色々あり、私が罪に手を染めたのは9にも満たなかった覚えがあります。
記憶とは厄介なものです。嫌なことばかり覚えているのですから。

私はすべてを捨てて、テウを捨てて今の私がいます。

教会の人は優しかった。

でも、私は神が嫌いで。
だから私は自らし…』

彼女は口を閉じてまた口を開く

『呼ばれてしまったようです。
神様はあなたも許してくれるでしょう。』

『だって神は赦すしか脳がないのですもの。』

なんだ、根本は変わってないじゃないか。

よかった

「それで、荘園にはいつ来るんだい?」

彼女はビクッとして、なぜそれを?と聞いてくる。

「さぁてね。
でも」

君はそろそろ戻ってくるべきだ。

『……そうね、19になったら、そちらに向かうわ。』