彼女はもともとⅢ (ページ33)

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いーち！ページ33

「6歳のテウちゃんはじめまして。」

死体のように動かなくなった彼女

「質問するから答えてね。」

恐る恐る口を開き、

『それは、家族からの命令ですか?』
と聞いた。

「あぁ。」

なら、と彼女は口を開く。

『人形みたいにずっと同じ体制でいると疲れる。』
「人形みたいに？どういうこと?君は人間でしょ?」
『私はAutomataよ。人形みたいなものじゃない。動いたら殴られるんだから。』

あの家族の商品として出店されるのよ。
だから今日逃げ出すの。

これは彼女の少しの抵抗なのだろう。ずっと言うことを聞いていた彼女はやっと反抗心を持った瞬間だと言えるだろう。

「一人で逃げるのかい?
行く場所は?」

『ナイ姉様とベスと逃げるの。お母様のご友人に伯爵夫人がいらっしゃって私達を助け出そうとしてくれてるみたい。』

良い伯爵夫人もいるものだ。
とホッとする

『でも、人なんてすべて欲が優先的に動く。行った先でどんな扱いを受けるかな。
そもそも、お母様は助けに掛け合うんじゃなくて私達を売ろうとしているのかもしれない。』

「なぜそんなことを言うんだい?」

だって。
彼女はしばらくしてから小声で小さく呟いた

『私はお母様から拒絶され、兄弟たちから良いようにされて、お父様は無関心で。

愛されたことないもの。』

しばらくしんとした部屋で、どういうことか言葉の意味を噛み砕こうと努力する。

『もう行かなきゃ。またね。』

彼女は勝手にどこかにいってしまう。
仕方ないので9歳のテウに聞いてみる。

「9歳のテウちゃんはじめまして」

『…冥土さんに誰も入れるなって言ったはずよ。』
「それはまた、どうして?」

彼女はため息をついて
『妹を納棺した納棺師なんて見たくない。妹の顔を思い出してしまうもの。』

「…ごめんね、お悔やみ申し上げるよ」

妹は死んだのだろう。どのようにかは知らないが。

『…あなたも真紅の派手なドレスで葬儀に参列したことを責めるの?』

え、と声が漏れる。
それは、この場全員の声だっただろう。

『わかってる。実の妹の葬式なのに喪に服すことも許されず着せ替え人形。
街の人たちの言い分は正しいのに街は焼け野原。』

『お母様のに言う通り、私が生まれたのが悪い。私がお母様そっくりに生まれてしまったから。』

そんなの、彼女に悪い点なんか一個もないじゃないか。
その場の誰もが思ったことだろう。

『生まれるべきじゃなかったのよ。私。』

悲痛な声だった。