愛されキャラの妹がうざかったので呪いの王と呪詛師旅行してみた

45話 ページ47

「あの術式を戦闘に活かすのか」


ん？
何か今、琴葉以外のことを言った気がする。


『宿儺。あの術式のこと知ってたの？あいつ以外で』


「ああ。昔美しい女が居ると聞いて見に行ったことがある。そいつは自分を美しいと思う奴らを魅了していたか」


『まさかその人って』


「お前の先祖だろうな。そいつの苗字も神代だった。今も続いているとは思わんだが」


『あー繋がったよ。何で大して強い術式がある訳でも無い神代家が、それなりの名家扱いされてたのか。立場のある人間を魅了することで存続してきたんだな』


あいつの術式がまさか神代家の相伝術式だったとは。
洗脳が十八番の家って、良く言えば世渡り上手、悪く言えば姑息だな。


『宿儺はご先祖様に魅了されなかったの？』


「される訳が無いだろう。明らかな異常に近付きはせん」


『そっか』


あいつの術式は格上の相手でも磁力を持たせられる。
次に出会った時は術式を使ったあいつと是非戦ってみたいものだ。
体術だけで勝ってやる。


『ああ、そうだ。宿儺』


「何だ」


『体術の相手をして欲しい。術式無しでも戦えるようになりたいから』


伏黒先生並みに強いんだ。
これ以上無い指導者だろう。


「構わん。その代わりお前の術式の使い方を教えろ」


『良いよ、勿論』


出来ることが多すぎて大変だよね、この術式。
私も今でも勉強中だ。


下に降り、こちらから攻撃を仕掛ける。
明らかに手を抜かれているが、一撃も当たる気がしない。


「素手よりも剣術の方が得意なのだろう。そちらで戦え」


『っ！分かった』


日本刀を取り出す。
稽古を付けて貰っていたのもこちらが主だったため、慣れている。


それでも当たらない攻撃。


『はぁっはぁっ』


かなり打ち込んでいった筈だが、負わせられたのは頬の擦り傷のみ。


「終いだな。筋は良いが、もっと裏をかけ。お前なら出来るだろう。また相手してやる」


『はぁっはぁっ。…ありがと宿儺』


倒れかけた私を支えてくれる。
また骨の山に登り、座る。


「少し休め。俺に教えるのはそれからで良い」



少し休んだ後、使い勝手の良い術式の使い方をいくつか教えた。


空間を繋げるものは、私のオリジナルだったのだが、教えた後すぐに出来ていた。
少し才能に嫉妬する。


『それ作るの大変だったのに』


「まあ、俺は使っているのを何度も見ていたからな」

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