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先輩たちの卒業式が数日後に迫ってきていた
「ほんとに卒業しちゃうんだねぇ」
唯ちゃんがしみじみと言う
春乃ちゃんなんかもう涙ぐんでるし
授業はほとんどないからと先輩達から教科書が渡ってきた
先輩から後輩へ
教材が変わらないものは受け継がれる
私には楠木先輩がくれた
「生物の教科書にはたくさん書き込みしたから、テスト頑張れよ」
「ありがとうございます！」
今使ってるのも実は楠木先輩のだったりする
先輩の書き込みには助けられていた
私のは誰に行くんだろう
ちなみに一也はクリス先輩から譲り受ける
倉持くんはもちろん亮介先輩
いずれ春市くんに行くと思う
卒業式はそれはもう大号泣した
貴子先輩のリボンを後輩マネージャーたちで取り合って
最終的にジャンケンになって見事に敗北した
勝者は春乃ちゃん
先輩たちと話す度に泣いてみんなに心配された
「Aちゃんがマネージャーしてくれて良かった
また練習見に来るし大会にも行ける時は行くから、部員達のこと頼むな」
最後楠木先輩が話しかけてくれた時には、もう喋られないくらいで、ただ頷くだけ
「最後は笑顔で見送ってよ
俺はAちゃんの笑顔が好きだったんだから」
今作れる精一杯の笑顔を見せられたと思う
「うーん、やっぱり諦めたの失敗だったな
グラッと来ちゃった」
じゃぁねとポンと頭に手を置かれた
先輩達の背中がだんだんと遠くなっていくのを後輩たち全員で見送った
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作者名：彩葉 | 作成日時：2021年6月17日 20時
