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ふと机の上に目をやると、丁寧にかわいくラッピングされたものが置いてある
手に取るとAが慌てた
「そ、それは…誰からも受け取らないって言ってたの忘れてて
えーと、作ったあとに思い出して……困るよね…」
「Aは特別中の特別だって言ったろ？
これ、俺にだよな？メガネかけてるし」
クマの型抜きを使ったクッキー
いや、これはワンチャン、ノラネコギャングかもしれん…
ノラネコギャングはサングラスを黒縁のメガネをかけかけていた
俺のイニシャルKの形をしたのもあった
違うって後ろに隠してももう遅い
一応、真田のイニシャルを思い描いたけど
あいつのどこにもKはない
というか、これを俺以外の誰かにやるって言うならそれはそれで大問題
意地になって奪おうとしたら、Aも奪われまいと必死だ
揉み合いになって、Aが後ろ手についた手が滑って…いつかとは逆
俺がAの事を押し倒すみたいになってた
この前からどうした…
これがラッキースケベっていうやつか？
今にも唇と唇が触れてしまいそうなくらいの距離
どっちかが動いたら多分触れる
このまま唇を押し当てたらどうなる？
ビンタ食らって一生口聞いてくれないかもな…
平然を装って身体を起こす
「頭打ってないか？」
「だいじょうぶ…」
手を差し出してAの事も起こした
俺の理性が残ってて良かったね、Aちゃん
真っ赤になってるかわいいAがすぐそこにいたのに…
近いけど…Aとの気持ちの距離はまだまだ遠い…
「それ、俺に用意してくれたんならちょうだい」
割れちゃったか心配になったが、クッキーは無事だった
「みんなの作ってたら楽しくなっちゃって…それで…もっと作りたくなっちゃった…
話すきっかけになったらって…無視してごめんねって、渡したかった…」
わかってる、ただそれだけだったんだろ？
それでもいいよ
Aが俺にって用意してくれたものなら、なんだって嬉しい
「ありがとう」
「…どういたしまして」
かなりギクシャクしてる所に沢村が乗り込んで来た
今から練習に付き合えという
こっちの都合お構いなし、自己中の後輩を持つと大変だ
おいおい、後ろに降谷までいるじゃねぇか…
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作者名：彩葉 | 作成日時：2021年6月17日 20時
