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一也の誕生日には結局マフラーをプレゼントした
去年使ってたのは結構年季ものだったし、手触りも良くて私が気に入っちゃったから
みんなでお祝いした後で私の部屋に来てもらった
クラッカーをパーンて鳴らす
やっぱ1個じゃ物足りないなぁ…
「17歳、おめでとう」
「やっとAに追いついたな」
「やっとって…3ヶ月しか違わないでしょ」
今年は1口サイズのフルーツタルトを焼いてみた
「うん、これはいける
美味いよ」
「良かった！」
食堂付近を通りかかった時、中からクラッカーを鳴らす段取りを大声で話していたのが聞こえてしまったらしい
どうリアクション取ったらいいのかわかんなかったと苦笑い
3年生も巻き込んでそれはそれは盛大に祝われたみたい
見逃しちゃったのが悔やまれます…
仕切っていた沢村くんに物申したい
私も仲間に入れてよと
「御幸家の誕生日はいつもチョコレートケーキだったよね」
「そ、俺も父さんも苦手なのにな
結局Aを呼んでおばさんにも持って帰ってってお願いしたよな」
ある誕生日の時は、ミットの手入れに夢中になりすぎてケーキを食うの忘れてたって言ってたっけ
おじさんがかわいそうだったな
思い出して2人でクスクス笑った
フルーツタルトを間食して、ご馳走様でしたと手を合わせた一也はそのまま私の髪を撫でた
「髪伸びたな、切らねぇの？」
一也が私の髪を1束掬ってそう聞いてきた
「せっかく一也が誕生日にくれたかわいいヘアゴムがあるから、しばらく切らない
お気に入りだよ、ありがとね」
立体のお花のモチーフのついたかわいいヘアゴム
貰ってから毎日つけてる
もちろん、今も
「似合うと思ったんだよ、見つけた時にこれだって
新チーム結成したばっかだったし、俺も気持ちに余裕なくて遅れてごめんな」
あの時期はしょうがない
ノリくんがまたまだ気持ちを切り替えられなかったりなれないキャプテンを一生懸命こなしていた時だし
夏の甲子園に出場できれば向こうで誕生日を迎えられるんだけど、夏休み真っ只中だしね
「ぜーんぜん
私も忘れてたし
でも一也って何気にセンスいいよね〜
私が好きなのわかってるんだもん」
「それはAも一緒だろ
今年はマフラー新調しようと思ってた」
今日はいつもの喧嘩はなし
お互いに褒めあってて笑っちゃった
17歳の一也にとって実りある素敵な1年になりますように
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作者名：彩葉 | 作成日時：2021年6月17日 20時
