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合格発表の日、郵便屋さんが来るのを朝からソワソワしつつ待っていた。
誰もいない時に、配達されてどうしようかと思いあぐねていた。

一人じゃ開ける勇気がなくて一也の家に走った。

「おじさん、一也いる?」
「おぉ、Aちゃん。いねぇよ。買い物行ってるけど中で待ってな。すぐ帰ってくるはずだ。」
「ありがとう。」

鍵をポイッと投げられて、階段を上がった。
勝手知ったる御幸家。
男2人暮らしとは思えないほどちゃんと掃除も行き届いてる。
一也が家事全般やってのホントすごい。
同じ片親なのに、私はお母さんに甘えっぱなし。
一也くんを見習えってよく叱られてしまう。

「それで野球まで出来て、勉強だってできちゃうの、すごいよなぁ…」

「誰のこと?」

「か、一也?!帰ったんだ…おかえり。」

「誰のこと?つうか、なんでいんの?発表今日だろ?どうだった?」

ツツツ…と送られてきた封筒を一也の前に差し出す。

「お願いがあります。一也が開けてほしい。
1時間にらめっこしたけど、開けられなかった。」

「自分でやれ!」

「お願い…!ホント怖いの…」

ふぅ…とため息をついて一也が封筒を持った。
ふむふむとなにか確認して、口角をあげる。

「大丈夫、開けてみろよ。合格してるから。心配ない。自信持っていいぞ。」

ハサミを持ってきてくれて、目の前に置いてくれる。

ハサミを持つ手が震えてうまく切れない。
折りたたまれている紙取り出した。


「いざ!」

目に飛び込んできたのは、合格の2文字。

「一也!一也!!見て!合格だってー
よかったー」

嬉しさのあまり一也に抱きついた。
勢い余って一也を押し倒すみたいになってしまった。

「よかったな。おめでとう。
でも、重い…」

「ひぇーごめん!嬉しくてつい…」

痛いところないかな…怪我させてしまったら大変。

「言ったろ?大丈夫だって。」

「なんでわかったの?」

「Aなら、やれるって思ってたから。
信じてたから。

ははっ、実は俺の所に来た入学案内の封書と似たような重さだったからな。不合格だったらこんな重くねぇだろ?持った時からわかったよ」

「わかったなら教えてよ!この心臓のバクバクどうしてくれんのよ…。もう意地悪だなぁ…。」

何はともあれ合格できたのは嬉しい。

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ow17fc14(プロフ) - マリイさん» コメントありがとうございます。自信はないですが、御幸の話が終わったらチャレンジはしてみようと思います。気長にお待ちください。 (2020年12月10日 9時) (レス) id: aa2425e726 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年12月8日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩葉 | 作成日時:2020年12月5日 12時

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