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ボールを打つ金属バットの音が聞こえる。
ここは野球部のグラウンドだ。
試験が終わったから練習を開始したんだな。
受験生の集中力の事を考えてくれたのか、試験中は静かなものだった。
一也もこの中にいるんだなぁ。
グラウンドを駆け回っている野球部を眺めていると、キャッチャーマスクを被っている一也を発見した。
うそ、もう練習に混ざってるの?あそこにいる大きな人は東さんだから1軍のグラウンドだよねこっち。
一也はほんとすごいキャッチャーなんだなぁ。
真剣な顔…。
先輩相手でもお構い無く支持を出してる姿はまだ、中学を卒業してない捕手とは思えなかった。
邪魔にならない所でしばらく練習を眺めていた。
休憩なのか選手達が散り散りにグラウンドから引き上げていく。
「お?なんだお前…見ねぇ顔だな。」
「純、いきなり話しかけたらこの子びっくりしちゃうじゃん。」
「制服からして中学生?この辺の学校じゃないね。」
わっ、この人たちは伊佐敷純さんと小湊亮介さんと楠木文哉さんだ。
「こ、こんにちは!練習見させてもらってました。すみません、迷惑でしたか?」
「君、受験生?迷っちゃったの?
正門はあっちだよ。」
小湊さんが優しく正門の方を指差してくれた。
「はい、受けてきました。
小湊さん、ありがとうございます。」
お三方とも目をぱちくりさせていた。
あ、やば…。たった今受験を終えたばかりの中学生が名前を知ってるわけないのに、思わず口に出しちゃったよ…。
「俺のこと知ってるの?」
なんて言おう…。
青道のファンなんですって正直に言う?
「おい、A!」
「あ、一也…」
一也が駆け寄ってきて、どうした?って聞いてきた。
「あー、こいつ、青道野球のファンなんですよ。
ベンチ入りのメンバーもそうじゃない人もだいたい名前と顔と一致してますよ」
言っちゃった!ミーハーだと思われない?大丈夫?
「ふーん、おもしろいね。」
俺は?と聞かれて伊佐敷純さんですと答えるとよくできましたと言われた。
「俺のことはさすがに知らないでしょ?」
「楠木文哉さん。ショートですよね。」
「おぉ!これはすごい。」
ぱちぱちと拍手をされた。
「練習見てくのか?」
「ギャラリーはいつも多いから気にしなくてもいいよ」
「こっちこっち。」
え?は?なに、これ…。
一也に助けを求めてみても、肩を揺らして笑ってるだけ。
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ow17fc14(プロフ) - マリイさん» コメントありがとうございます。自信はないですが、御幸の話が終わったらチャレンジはしてみようと思います。気長にお待ちください。 (2020年12月10日 9時) (レス) id: aa2425e726 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年12月8日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩葉 | 作成日時:2020年12月5日 12時