近くて遠い 【ダイヤのA】

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体調を崩していたとか、練習で忙しかったとか…言い訳だよなぁ…。


一也の誕生日がもうすぐそこ！
誕生日プレゼント用意してなかった子ことに今青ざめてる。

あーー、ほんとどうしよう。
毎年毎年ドンピシャなのをくれる一也。
あとから渡すのは相当なプレッシャー。
いらねぇとか気にいらんとかは言わないけど、少しでも好みのもの使ってもらえるものをあげたい。

明日スポーツ店に買い出しに行くからその時ちょっと見てみようかな…。
あーこの前午後練が早く終わったときに買いに行くんだった…。

小湊先輩に捕まって、倉持くんたちの部屋でホラー映画を見ちゃったんだよなぁ…。
お風呂もトイレも怖くて、枕を握りしめて一也の部屋にヘルプに言ったらバカ言うなって追い返された。

その後電話がかかってきておしゃべりしてる間に寝落ち。
眠れるまで付き合ってくれたことには感謝だけど、怖がりとしばらく言われて遊ばれた。


あの日、遊んでる場合じゃなかったなー。

唯ちゃんと買い出しに行ってちょっとだけお願いと頼んで時間をもらった。

なにがいいかな？
一也帽子好きだしキャップと何かかな。

「随分真剣な顔して選んでるね。」
「誕生日プレゼントもらってるしね。
何気にお洒落で好みを巧みについてくるから、私も負けてられないじゃない？」

「Aの誕生日もう終わってるよね？何もらったの？」

「今年はポーチくれた。日焼け止めとかヘアゴムとか入れてるやつ。」

「うっそ、あれって御幸くんが選んだの？
かわいいなぁって思ってたんだ。どこで買ったか気になってたんだよ。」

私には可愛すぎると思ってたけど、あれ使ってると、Aっぽいねって学校の友達にも言われる。

「ふーん、御幸くんにはAは、あの可愛さが似合う女の子に見えてるんだろうね」

ニコニコ話す唯ちゃん。
ごめん、何言ってるかわかんない。
一也が？
ないない！
まさか。

小っ恥ずかしい気持ちになって、そのへんにあったリストバンドを掴みレジへと向かった。

色をよく見てなくて紫だけど、キャップも同じ色だからまぁいいか。

「ふふっ、Aが照れてる。」

「ーーーーっ！照れてないっ！！」

「ムキになるのが怪しいぞっ」

「もう！！先に帰るよ！」


　待ってよーとじゃれてくる唯ちゃんに違うからねって何度も伝えたけど、わかってくれない。

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