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一也にマネージャー室に連れてこられた。

外でいるから着替えろって。
制服に着替えてから一也を呼んだ。


うつ向いてずっと黙ってる。
なんか言ってよ…。

「だから、言ったんだ。
危ういって。Aは無防備過ぎる。男の中にいるって事、ちゃんとわかってるか?」

「わかってる。」

「なんもわかってねぇだろ!!」

なんで一也が怒鳴るの…。
今混乱してて、わけがわからないのに、怒鳴られたら余計に…。


「ごめん。今のは俺が悪い。」

一也が触れようと手を伸ばしてきたのを思いっきり跳ね除けた。

「ったく。俺にはそうやってできるのに、なんで先輩にはできねぇの?」

「不意打ちだったから。」

はぁ〜と大きなため息をつかれて、しゃがみ込んで背中を向けた私に一也も膝を折った。

「Aは自分が思ってる以上に、かわいい女の子だって、そろそろ自覚しねぇとな?」

涙でグチャグチャになってる私の顔を一也は服の袖で拭く。

「過大評価し過ぎ。私なんかかわいくないよ。自意識過剰だって笑われる。」

「そんなことねぇけどな。あのイケメンの楠木先輩がお前がいいって言ってんだし。」

「好きなんて言われてないもん。」

それはお前が無意識に言わせないようにしてんだと、またため息をついた。

「もう高校生なんだから、そろそろわかって、まじで。」

「一也はいっつも大事なこと濁すじゃない。」

もう知らない。
ホントにわかんない。

「帰る!」
走った。
息が切れて苦しくても立ち止まらずに、一目散に駅に向かった。
曲がり角を曲がったところでまた誰かとぶつかる。
反動で尻もちをつく。
学習能力はないのかと我ながら呆れた。

「いってぇな!」
「す、すみません…」
「あれ?泣いてんの?どっか痛い?」

やだ…この人達お酒臭い…。
酔っ払い?

力任せに引っ張り起こされて壁際までジリジリ詰め寄ってきた。

「よく見たらかわいい顔してんじゃん。
なんで泣いてんの?嫌なことでもあった?
お兄さんたちが慰めてあげようか?」

怖くて、怖くて…拒否の声も出ない。

奢ってあげるから遊びに行こうと手を引っ張られる。

「や、やだ…」
なんとか絞り出した声は相手に届かない。
振り払おうとしてもビクともしない。
一也…助けて…。

あんなふうに飛び出してきてしまったから、一也だって呆れてると思う。
追いかけてきてはくれないはず。

でも、心の中で一也の名前を叫ばずにはいられなかった。

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ow17fc14(プロフ) - マリイさん» コメントありがとうございます。自信はないですが、御幸の話が終わったらチャレンジはしてみようと思います。気長にお待ちください。 (2020年12月10日 9時) (レス) id: aa2425e726 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年12月8日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩葉 | 作成日時:2020年12月5日 12時

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