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「御幸も素直じゃないね。あからさまに機嫌悪くなっちゃってさ。」

「どういうことですか?」

「それは自分で考えな。わざわざライバルにいいパス出すつもりないし。」

パス?
ライバル?
楠木先輩のポジションはショートで一也はキャッチャー。
争う必要なくない?
どっちかと言えば倉持くんの方がライバルだよね?

「口の横にクリームについてるよ。」
「ん、取れました?」

お行儀悪いけど、舌を出して唇を舐めた。

「違う、こっち。」

人差し指で拭って楠木先輩は人差し指をそのまま舐めた。
ひぇーー、なんかかなり恥ずかしい…。

「あっま…」

人前なのに恥ずかしげもなくそんなことされたら、どうしたらいいかわかんなくて、固まってしまう。

「A、わり…待たせた。」

「一也…」
良かった…。一也が来てくれて安心した。
この空気耐えれなかった。
「じゃ、練習でね。」

「は、はい!たくさんごちそうさまでした。」

「行こうぜ、きっと倉持が遅いってギャンギャン言ってるはず。」

「あ、うん…。」

パシッと手を繋がれて、思わず手を引っ込めそうになった。

「楠木先輩には繋がせてただろ?俺はダメなの?」

「あれは、逸れないようにって…」

「じゃぁ、俺も。ほら、早く行くぞ。
それとも倉持に怒られたい?」

「それはやだ。」



今、一也が纏ってる空気がなんか怖くて…思わず手を引っ込めそうになったけど、手を繋いだらその空気が柔らかくなったのはなんで?

野球部のブースに行くとねじりハチマキで甚平を着てる倉持くんは、テキ屋さんのお兄さんそのままだ。

「おせぇぞ。」
「Aのせいで怒られた。」
「私のせいなの?」
「早く代われ!腹減って死にそう。」
「はいはい。」
「はいは1回!!」

倉持くんと交代してしばらくしたら、顔を真っ赤にしてモジモジしてる女の子が一也に話しかけた。

「一緒に回って欲しいです。」
この子一也の事好きなのかな…。
指先震えてる。

「ごめんなさい。今ここの当番中だから。」

「いいよ、行ってきて。私一人でも大丈夫だから。そんな忙しくないし、野球部の誰か通りかかったら巻き込んじゃうからさ。」

「お前なぁ…」

「ほらほら、行ってきな。女の子に恥かかせちゃダメだよ。」

きっとすごく緊張してて、勇気を出して一也に言いに来たはず…。
だから…いっておいでって言った。
なのに、ちょっと胸の奥がチクンて傷んだ。

なんで??

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ow17fc14(プロフ) - マリイさん» コメントありがとうございます。自信はないですが、御幸の話が終わったらチャレンジはしてみようと思います。気長にお待ちください。 (2020年12月10日 9時) (レス) id: aa2425e726 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年12月8日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩葉 | 作成日時:2020年12月5日 12時

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