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歩けるから一人で帰れるのに、一也はわざわざついてきた。
遠いのに…行って帰ってくるだけで休み潰れちゃうのにな。
駅からはおじさんが迎えに来てくれて。
仕事忙しいのに申し訳ない。

「すみません。」
「謝らなくていいぞ。困った時はお互い様だ。
明日から練習あるんだろ?駅まで送ろうか?」

今までは徒歩だったけど、自転車で行くことにするから問題ない。
心配そうに、そうかと頭を撫でていく。

不便なのは自転車に籠がついてないことくらい。

「よっしゃ、任せとけ」
何度も言うが仕事で忙しいのに、おじさんお手製の自転車の籠を作ってくれた。

「かっこいいじゃん。早速取り付けようぜ。自転車取ってくるよ。いつものところだろ?」
「え、うん。鍵これ。」

思い立ったらこの親子は本当に行動が早い。
止めるまもなくやっちゃうんだよね。

我が自転車に籠がしっかり取り付けられて、ご満悦な御幸親子。
後ろ姿とかホントそっくり。
寝癖がおんなじ所についていた時は笑っちゃった。


「一也もごめんね。せっかくの休み潰しちゃったね。ありがとう。」

自宅スペースに上がって冷たい飲み物を入れてくれた。
「いや、いいよ。
父さんの顔も見れたしな。一人で帰すわけにもいかんだろ。」

「優しい一也好き!!」
さっきまでニコニコしてたのに、突然一也が黙った。

「そういう事は軽々しくいわねぇの。」

「そういう事って、あー、好きってやつ?
本当に好きだもん。軽々しく言ってないよ。」

「Aのそういう所危ういぞ。」

意味分かんないんだけど…。
ふいっと背を向けて、軽快な包丁さばきを聞かせてくれてるけど、音はいつもより荒々しい。
なんかまずいこと言っちゃったのかなぁ。

「怒ってる?」
「怒ってねぇよ。危ないから向こう行ってろ。邪魔!」

邪魔とは失礼ではないか?
そう言いつつも私の分のお昼ご飯までしっかり作ってくれてる…。
一也の感情がイマイチよくわかんない。

おじさんに作り置きをして、タッパーにつめていってる。
うちの分まであった。

「一也はいいお嫁さんになるよ、ほんと。」
「俺はならねぇよ。奥さんは貰う側だ。」

物の配置とか結構うるさいし、キッチンに入れさせてくれないんじゃないかな。
勝手にいじられたくないとか言って…。

まだ見ぬ将来の奥さんにちょっとだけ同情した。

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ow17fc14(プロフ) - マリイさん» コメントありがとうございます。自信はないですが、御幸の話が終わったらチャレンジはしてみようと思います。気長にお待ちください。 (2020年12月10日 9時) (レス) id: aa2425e726 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年12月8日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩葉 | 作成日時:2020年12月5日 12時

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