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「なぁ、今のってさ、あの生意気だった御幸一也じゃねぇ?」
「御幸って確か青道に行ったんだろ?しかも1年で正捕手って。」
「負けてたな。昨日の試合。
正捕手が1年だったから負けたんじゃねぇの?」


聞こえてくる会話に腸煮えくりかえりそうだった。
一也がどれだけ努力してきたかも知りもしないで、よくそんな事…。
よく見るとこの人たち。シニアの時の先輩。
一也のこと殴った人たちだ。


「今の訂正してください。」
後先考えずにその先輩たちの前に飛び出してた。

「はぁ?なんだお前。」
「おい、こいつって御幸の後チョロチョロついて回ってた子じゃねぇ?」
「教育してやったときも噛み付いてきたあの子か。」

むこうも私のことを思い出したらしい。

「今の言葉取り消してください。」

「うるせぇよ。取り消さねぇからな。」
「退けよ」
「取り消してもらうまで退きません。」
「お前もしつこいやつだな、退けって。」

身体を押しのけられた反動で足首を捻った。
踏ん張れなくて、転んでしまう。

「ちょっ…なにやってんの?」
「あ、一也…」

タイミング悪い。
座り込んでいる私に視線を合わせた一也。
「大丈夫か?」
「うん」

「お久しぶりですね、先輩方。」
ニッコリ笑った横顔は怒ってる。
目が笑ってない。
こうなった一也は本当に怖い。

「こいつがなんでこうなったのか説明願えますか?」

一也の態度にタジタジな先輩たち。
一人が行こうぜと肘で小突いた。

「待って!ちゃんと取り消して!」

立ち上がって追いかけようとしたのに、ズキンと痛んだ足首のせいで立てない。
その隙に先輩達はそそくさとどっかに行ってしまった。
「なんとなく話はわかったけど、女の子なんだから年上の男に一人で立ち向かっていくな。」

「だって…悔しいじゃない。一也の努力もクリス先輩の事も、先輩達のことも全部馬鹿にされた気がして、悔しい。
みんながどんな汗を流してきたかも知らない人にあんな事言われたくない。」

ふぅーと一息はきだした後にポンと頭に手が置かれた。


「Aは俺のこと言われて怒ってくれたんだよな。
俺も同じようにAが傷つけられたら、怒るぞ。」

いつまでも床に座り込んでいるわけにもいかないから、一也に立たせてもらう。
「結構キツく捻ってんだろ、おぶされ」

「や、やだよ。重いもん。一也潰れちゃう」

「野球部の体力舐めんなよ。お前くらい楽勝。」

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ow17fc14(プロフ) - マリイさん» コメントありがとうございます。自信はないですが、御幸の話が終わったらチャレンジはしてみようと思います。気長にお待ちください。 (2020年12月10日 9時) (レス) id: aa2425e726 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年12月8日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩葉 | 作成日時:2020年12月5日 12時

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