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準決勝で稲実に負けた。
一也が誘われた稲実。鳴ちゃんにいいようにやられた。
「悔しいね。」
「鳴は大きくなって帰ってくるんだ。来年こそ勝ってやる。倒し甲斐あんじゃん。」
私の前では強がんなくていいのに。
「お疲れ様。」
「Aの作った菓子食いたい。」
「わかった!明日作って持ってくるよ。」
「オフだぞ。」
「オフって言われても何していいかわかんないもん。一也はこっちにいるし、一人で遊んでもつまんない。」
「しゃーない、相手してやるか」
泣いて泣いて泣き尽くしたから、後は顔をあげて進むだけ。
新チーム始動はすぐこそだ。
秋大もすぐに始まっちゃう。
一也が前絶賛してくれたチーズケーキを焼いて寮に向かった。
帰省した人もいるし寮に残った人もいる。
「あれ?来たんだ。オフなのに、ゆっくりしてればいいのに。」
「楠木先輩だって、バット持ってるじゃないですか。自主練するんですよね、さすがです。」
「倉持に負けたくないから。」
もうレギュラー争いは始まってる。
倉持くんの走力は監督も認めていて、次のショートは倉持くんか楠木先輩か…。
小湊先輩との楠木先輩の二遊間安心してみていられるの好きなんだけどなぁ。
もちろん倉持くんも負けてないんだけど。
「A!」
「あ、一也。作って来たよ。今から食べる?」
寮の部屋から出てきた一也が2階から私を呼んだ。
「甘いいいにおいがすると思ったら何か作って来た?」
「チーズケーキを。」
「え、いいな。御幸の奴は幸せ者だな。」
「そうですか?チーズケーキ簡単だから誰でも作れますよ?」
「自分のために何か作ってくれる人がいるって幸せ者だよ。いい幼なじみもったな。」
そう言われるとなんだか照れくさい。
「いい気になるなよ」
憎たらしいセリフが2階から振ってくる。
「女の子には優しくな、御幸。」
「せっかく作ってきたけど一也にはあげない。楠木先輩、食べますか?」
「いいの?」
「ぜひどうぞ。」
「待て待て、俺に作ってくれたんじゃないのか?」
階段を駆け下りて来る一也。
必死か…。
「うそ、たくさん作ってきたからみんなで食べよ。」
「素振り終わったらご馳走になるよ。」
「冷蔵庫に入れときますね」
じゃ後でと室内練習場の方に歩いて行った。
「一也は素振りしなくていいの?」
「朝早くにもうやった。」
「え、ホントに?」
自主練の時間、私の為に削ってもらうのは申し訳なかったから行ってきていいよって言うつもりだったのになぁ。
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ow17fc14(プロフ) - マリイさん» コメントありがとうございます。自信はないですが、御幸の話が終わったらチャレンジはしてみようと思います。気長にお待ちください。 (2020年12月10日 9時) (レス) id: aa2425e726 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年12月8日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩葉 | 作成日時:2020年12月5日 12時