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「ありますよ、一也の分が。あいつにはあげないことに決めました。」
「俺が貰ってやろうか?」
「純、何上から言ってんの?くださいでしょ?」
小湊先輩も現れて伊佐敷先輩に手刀をお見舞いしてる。
俺にもくださいと言い直してくれて、どうぞと伊佐敷先輩に渡した。
「腹減ってしょうがなかったんだよ」
「でも、良かったのかなぁ?
御幸のやつすごい顔してこっち見てるよ。」
「あいつでもあんな顔すんのな」
「珍しいもの見れた。」
スネてるというか不貞腐れてるというか
なんとも言えない表情。
走ってきてくれたのはハッキリとわかった。
肩で息をしてる。
「素直じゃない御幸が悪いからこれはあげないよ。」
ちょくちょく現れるブラック小湊先輩が一也を挑発するように言った。
「そいつが作る菓子、美味いんですよ。
取り柄がそれしかないんで。」
飄々と言う一也になんか…カチンときた。
一也に言われなくてもわかってるもん。
一也みたいに野球上手じゃないし、要領よく勉強もできないし、料理だってお菓子作り以外そんなに得意じゃない。
失礼しますと先輩達に頭を下げてその場から立ち去った。
「あ、こらA、待てよ。」
一也が呼んでたけど、ムカムカしてたから無視しちゃった。
小湊先輩と伊佐敷先輩に挟まれて一也はタジタジ。
そんな姿が廊下を曲がる時にチラッと見えた。
後から楠木先輩に聞いた話。
伊佐敷先輩と小湊先輩にこっぴどく叱られたらしい一也。
夜、しょぼくれたメールが来た。
"久しぶりに#name1#が作った菓子食べたかった。先輩たちだけずりぃ。
貰ったのはちゃんと全部食った…。
ごめんなさい。"
このメールの送り主は先輩たちにだって噛み付いちゃう、自信家で飄々としてる人と同じ人だろうか。
この弱々しいメールを一也が打ったと思ったら、ムカついてるのがどうでも良くなった。
やっぱり私も一也には甘いんだなぁ。
"また作るからね。"そう一言だけ返信した。
"本当か?!絶対、また作ってくれよ!
約束だからな!"
普段滅多にメールなんてしないのに、今回は帰ってくるのすごく早かった。
「御幸のやつ、昨日の夜ずっと携帯握りしめてた。
誰からのメール待ってたんだろうな。」
翌日、倉持くんから聞いてなんとも言えない気持ちになった。
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ow17fc14(プロフ) - マリイさん» コメントありがとうございます。自信はないですが、御幸の話が終わったらチャレンジはしてみようと思います。気長にお待ちください。 (2020年12月10日 9時) (レス) id: aa2425e726 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年12月8日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩葉 | 作成日時:2020年12月5日 12時