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教室の壁が背中に当たる。
顔の横には一也の腕。
あれ?これ所謂壁ドンてやつ?
一也にされてもトキメキがない…。
「俺がここに来た理由…知ってる?」
「尊敬してるクリス先輩がいて強いチームで野球がしたい。それに美人の礼ちゃんにスカウトされたからでしょ?」
「………それだけじゃないけどな。」
「じゃぁなに?」
「知りたかったらマネージャーしろよ。」
「なにそれ…。ていうかこれはなに?近いよ」
一也の胸板をグイグイ押し戻す。
退いてくれなくて一也の弱点を擽った。
やめろと頬を摘まれる。
「とにかく!今日野球部に来いよ」
わかったか?と両頬をみょーーんと引っ張りながら一也はニヒヒと笑う。
「やるってまだ決めてないからね。話聞いてから。」
放課後、迎えに来た一也に引っ張られてグラウンドが見渡せるプレハブの中に押し込められた。
「礼ちゃん、連れてきた!こいつの事よろしく。」
「はいはい。あんまり強引にすると嫌われるわよ」
ホントだよ…嫌いになっちゃうぞ。
まぁ、それはないけど…。
「久しぶりね。私の事覚えてる?」
「はい。去年もその前もスタンドで何度かお見かけしました。」
毎年のように予選は見に行ってたから。
「御幸くんがどうしてもあなたにマネージャーになって欲しいって。
うちとしても2人抜けるし、100人近く部員がいるから人手不足なの。やってくれない?」
「抜けるんですか?」
「2年生のマネージャーが実質1人。
元々あまり顔を出してなかったし、進級したタイミングで正式に辞めるって言ってきたわ。
3年生の子は家庭の事情もあって転校するの。」
「いいんですか?私なんかが野球部のマネージャーしても。」
「私が知る限りうちの野球部をこんなに好いてくれてる女の子知らないわ。毎年応援に来てくれて目を輝かせながらグラウンドを見つめてる。
勝ったら自分の事のように喜んで、負けたら選手よりも泣いて。
御幸くんが待ってるように私もあなたの事待ってたのよ。一緒にサポートしてくれたら助かる。」
そんなふうに見てくれてたんだ。
正直に嬉しい。
「あの…マネージャー、させてください。精いっぱい頑張ります。」
「良かった。」
全体練習が始まる前にマネージャーとして選手達に紹介された。
大勢の前に立たされて緊張して自分の名前を噛んだのは本当に恥ずかしい…。
こんな大勢の前で喋ったことないもの。
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ow17fc14(プロフ) - マリイさん» コメントありがとうございます。自信はないですが、御幸の話が終わったらチャレンジはしてみようと思います。気長にお待ちください。 (2020年12月10日 9時) (レス) id: aa2425e726 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年12月8日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩葉 | 作成日時:2020年12月5日 12時