●緊張/緩和 ページ10
彼が私を抱きしめる力を弱くした。
また……ソコにおさまればいいのかな？
どうしたらいいのか分からなくて、様子を伺ってジッと見つめてしまっていた。
「……だからー。そんな見るなって。ほら、」
やっぱり。腕枕……なのね？
ちゃんと頭を乗せろとアピールして動かす腕に手を触れて、その下に頭を持っていくと、上からガシッと頭を掴まれる。
「そこじゃねぇ」
「んー、でも……きっとそれじゃ私眠れないから」
「あっそ。じゃぁいいですよー」
怒ってしまったかと思ったけれど、今度は私の手を掴んだまま体の位置を調節する。
繋がれた手に力を込めながら「これで許してやる」と妥協案を提示して、彼は目を閉じた。
「……おやすみなさい」
「おやすみ」
手を繋いで眠るなんて……誰かとしたことがあったかな。
彼の方に体を向けて、繋ぎ合った手のすぐそばに顔を置いてみた。
そうすると、必然的に目を閉じる綺麗な顔が間近にあって……
「……ふ、ふふ」
「んだよ。寝ろって」
「すごく落ち着くの、これ。腕枕は落ち着かないんだけど」
「……そ。じゃぁ、今日からずっとこうする」
その言葉だけで、涙が出そうになった。
ずっと？
ずっと……なんて。
ありえないのに。それでも当然のように言ってくれるのね。
「ありがとう」
「……何が」
「ううん」
「ハァ？……マジで寝ろって」
「うん」
私は、これからあなたの望む関係をうまく築いていけるのか自信は無いけれど。
でも……“ずっと”と言ってくれるそれが、できるだけ長ければいいなとすぐに思ったの。
今まで。ううん、ついさっきまで、誰かとの未来を思うことなど無かったのにね。
ねぇ、翔。
今なら、浮ついた気持ちに乗せて想うくらい、いいのかな？
こんな私でも、あなたと……“ずっと”、これから幸せを築いていけますように……と。
再び目を閉じた顔をこっそり見つめながら……早速、願って。
そうしたら、早速……今までにない感情が湧いたの。
「眠れた？」
「うん。ちょうど今起きたわ」
「そっか。良かった。あー……俺、ずっと夢見てたのかな……」
「どんな？」
「言ってもいいの？」
「えぇ？」
寝起きにニヤリとした彼は、一度キスを落として耳元で囁いた。
「お前が言ってたの。色んなね……愛の言葉を」
「ふふ、そうなんだ」
それね……本当は、夢じゃないのよ。
眠ったら全てが消えてしまうようで怖かった私が、本当にあなたに伝えていた言葉だから……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みつな
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月14日 22時
