関西男子をオトす方法【オリジナル】【BL】 (ページ6)

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5話ページ6

「はい。イチゴだよな? 」

俺は、片手に持っていたイチゴのアイスを無月に渡す。
無月は「サンキュ」と呟いて俺の手からアイスを受け取った。

「……美味ぁ。」

ﾊﾟｸ,と一口食べ無月は顔を綻ばせる。
俺もバニラを口に含む。
甘い味が口一杯に広がった。
しばらく2人でまったりしながらアイスを食べる。

「……ﾌﾞﾌｯ。」

アイスから顔を離し、無月を見ると口の横にアイスをつけていた。
その間抜けな顔に、俺は思わず吹き出してしまう。

「……何や? 」

それが気に障ったのか、ｷﾞﾛと此方を睨む無月。
俺は両手を振る。

「違う違う。ここ、ついてる。」

ﾄﾝﾄﾝ,と自分の口をつついて教えるも無月は逆を拭いてしまう。

「違う。……ん、待って。」

俺はｽｯ、と手を伸ばしてアイスを拭う。
そのままその手を口に伸ばし、ﾍﾟﾛと舐めた。
……さぁ、どんな反応をする?

「? ありがと。」

俺の視線に気付いたのか、無月はｺﾃﾝた首をかしげお礼を言った。
……つまんな。
俺は心でそう呟き前を向いた。

……吃驚したぁ。
柊は前を向いてるから見えないだろうが、恐らく俺の顔は耳まで真っ赤。

「無月って家どこ? 」
「ん"っ!? ……そこ右行って真っ直ぐ。」

ｸﾙ,と何の脈絡も無く振り返る柊。
俺はﾊﾞｯ,と顔を背け答える。

「俺左だわ。じゃあここでお別れか。」

なんて。
どこのカップルやねん、と言う突っ込みは心の中だけで。

「んー、ば「……なぁ、連絡先交換しねぇ? 」

バイバイ、と言おうとしたらそんな言葉で遮られる。
顔を上げると、少し赤い顔の柊。
これも演技か? とかオトすためにか? とか。
色んな言葉が頭の中で交差する。

「……しゃあないから……したるわ。」

頭の言葉とは裏腹に、俺の口からはそんな声が。
柊はそれを聞いてめちゃくちゃ嬉しそう。
……案外悪い奴やあらへんのかもなぁ

「……え、無月ガラケー? 」
「悪いか。」
「いや悪くないけど……。」

俺らは連絡先を交換してそれぞれの帰路に着いた。

「……柊……。」

部屋で1人、電話帳に登録されたその文字を眺める。
携帯に家族以外の連絡先入るのなんて初めてかもしれん。
そのちょっとムズムズする感覚に、俺は自然と笑みを浮かべていた。
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

「うぇぁ!?……はい? 」

いきなり携帯が震える。
ﾋﾟｯ,と通話ボタンを推す。

『あ、無月? 』
「何やねん、忘れ物か? 」
『いや、今日はありがとな。……それだけ言いたくて。』

そう言って電話はﾌﾟﾂﾘと切れた。