4話 ページ5
柊と適度に関わりだしてから2週間が過ぎた。
と言っても、仲良くなったとか友達とかではなく。
「おはよ。」とか「次授業何? 」とか。
話すのはそれくらい。
の筈やったのに。
「ここは? 」
「それは、この公式。なろたやろ? 」
「……。」
「寝てたんかいな。」
目の前には、淡い金の髪と真っ白のプリント。
何故か俺は今、柊の補習を手伝っている。
教室には誰も居ない。
俺と柊の2人だ。
「……無月? 」
「……何や? 」
「ボーッとしてたから。……迷惑だった? 」
何時もは済ました面してんのに、こういう時だけ弱った仔犬のような顔をする。
「いや、俺もやり直しとか出来るしな。別に迷惑ちゃうよ。」
柊の答案に丸つけしながら俺は言う。
別にこれは嘘ではない、本心だ。
「……ここ間違っとる。」
プリントを返すと、柊と目があった。
カラコンでもしとんのか、青の目。
澄んどって、綺麗やなぁ……って思った。
「何かついてる? 」
「……いやッ、何もないよ? ……ここはな、応用すんねん。」
少し見とれてたのがバレたかも。
赤くなっていく顔を抑えながら、俺は解説を続けた。
補習が終わったのは、それから1時間後。
辺りは夕焼けに染まっていた。
「……ほな。」
「……あの、さ。途中まで帰らない? アイスでも奢るけど。」
席を立って帰ろうとすると、柊に呼び止められる。
今日は特に用もないし……えぇか。
別にアイスに釣られた訳ちゃうからな。
「ん、えぇよ。……イチゴがえぇなぁ。」
「はいはい、俺はバニラにしよ。」
何のアイスを買うか言い合いながら、帰り道を歩く。
グラウンドからは、部活動の声がした。
「……柊はさぁ、モテるやろ? 」
ポロ,と口からそんな声が。
慌てて押さえるも、後の祭りである。
「まぁね。俺、顔は良いし。」
柊は変に否定せずそう言った。
その顔にはありありと自信が浮かんでて、あぁカッコえぇなぁって思うほど綺麗だった。
「でも無月もだろ? 」
「俺? 俺はモテへんでぇ。」
たまに下駄箱に手紙入っとったけど、行ったら男やったって言うオチしか無かったし。
笑いながらそう言うと、柊は「へぇ。」と苦笑いを浮かべていた。
「じゃあ無月は男と男が付き合うのは反対? 」
「いや? 好きやったらええんちゃう。」
柊からの質問に俺はそう答える。
やから別に告白してもえぇねんで? と言う意味も込めて。
けど気付かなかったようで、直ぐに次の話題に移ってしまった。
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ののいろ系女子 - 凄く面白いです!何かね、無月君がブラックのコーヒー飲めないの何かぐっときました。最高です! (2019年2月27日 16時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜鸞 | 作成日時:2019年2月25日 16時