第48話:自覚 ページ49
「……。そんなことが……」
眉間に皺、複雑な表情の赤司さん。
苦い顔をさせてしまった。中学に入って初めてこの話をしたけど、これからの関係にもきっと影響はあるだろう。
「……チッ、んだよその胸糞悪りー野郎、」
私がびく、と反応したのを見て「お前に言ったんじゃねーよ、」と慌てて訂正する青峰さん。さつきちゃんが青峰さんを小突く。
「今日は運悪くあいつに会ってしまったが、助けに入れてよかった。Aが即刻テツヤに助けを求めていなかったらもう少し遅れていたかもしれないな。」
「えっ、Aちゃんが皆を呼んでくれたの?
わたし全然気付かなかったよ、」
「ごめんなさい……、あの時は連絡だけでいっぱいいっぱいで、さつきちゃんと真綾ちゃんに伝えるまでには至らなくて」
2人にも私が使ったアプリを見せる。ぱっと見では連絡しているとは分からないような真っ黒な画面。3秒押すとテツくんに連絡が行く。更に押すと両親、最寄りの警察に電話が掛かる。
テツくんが先になってるのは、忙しい両親より同じ学校にいる彼の方が動ける可能性が高いからだ。
幼なじみ様様である。
「ううん、咄嗟に判断してくれたから赤司君達に来てもらえたんだよね。
凄いよ、ありがとう」
隣にいたさつきちゃんが私の手をぎゅっと握る。
そうか、この連絡手段で私一人だけじゃなく彼女も守れたのだから、いい使い方が出来たんだよね。
「俺からも礼を言うのだよ。
公園の中でも真綾を守ってくれたのだろう。ありがとう。」
深々と緑間さん兄妹から頭を下げられて恐縮する。
何と言うアプリだ、この際女子は全員使ったらいいんじゃないの、なんて携帯を囲んでいると。
一人、居心地悪そうにしていた黄瀬さんが口を開いた。
「あんたは、オレのことは怖くないんスか。」
「……え?」
言いづらそうに、少し下を向いて喋る彼に注目が集まる。
「だから。オレ、昨日も認めないとか、イアツ?してたし、態度悪くて…さっきも勉強教えてもらったのに、拗ねたまんまで。
怖いと思わなかったんスか?」
「……あぁ、」
確かに。
彼の自覚する通り、快い歓迎はされなくて、受け入れて貰えてた訳ではなかった。
「……そう、ですね。
昨日、勝負しろと言われた時はちょっとだけ、困りましたけど……。
でも緑間さん達がフォローしてくれたし、黄瀬さんが仲間想いなのも、いじられキャラで皆さんから好かれているっていうのもすぐに分かりましたから。」
「え、」
141人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Mae | 作成日時:2020年10月22日 16時