第46話：回想 ページ47
「小学4年生の、ある日。
放課後でした、その日は私の都合でテツくんとは一緒に帰ってなくて。
クラスの仲の良かった男の子と途中まで一緒だったんですが……その、いわゆる告白、というものをされて。
その頃の私はまだ目も悪くなかったし、今よりは活発な性格だったので。
ちょっとあとでも登場するので、その男の子は、
……仮に『Mくん』と言っておきます。
私は、恋愛とかはよくわからなかったので、お断りをして、道を別れたんですが。
いつもと違う道を通って下校していたのが悪かったのか……たまたま空き地を通りかかった時、見たことのない中学生数人に有無を言わさず引きずり込まれたんです。
制服を着てて、男子数人でした。体格はやや大きめなくらいで普通でしたが、柄は悪い感じでした。
いかにも力を持て余しているような。
怖かったけど、自分より体の大きな男子に囲まれて、逃げられませんでした。
『ちょうどいいの、見っけ。』
そう言われたのを覚えています。
運悪くあの場に居たのが私だっただけで、誰でも良かったんでしょう。
当時の私が、いかにもそういう悪いことをしなさそうな感じの子供だったことは理由にあるかもしれませんが。
それで、そこから。
相手は5、6人だったと思います。
囲まれて、……えっと、円になってひとつのボールをパスするような遊びってありますよね。そのボールを人でやる感じです。
背中を蹴られたり、突き飛ばされたりしながら延々に回されるんです。
足を止めたり転んだりすると蹴られて、泥水を掛けられたりして。
もう4年も前のことだし、傷も残ってないですが。
彼らが飽きる頃には全身泥まみれの痣だらけで。本当に疲れるんです、やられる側だと。
泥と涙と汗でぐちゃぐちゃになって、漸く解放されるかと思った時、『クレハラ』がナイフを取り出したんです。
盗んだのか、悪い知り合いにでも貰ったのか、こう、ちょっと装飾なんかもあって普通の家庭には無さそうな小洒落た外見の。
萎縮した何人かは帰りましたが、残ってた人に押さえつけられて。着てた服を斜めに切り裂かれて、切れ味を確かめるように、何ヶ所かに刃を立てられました。
所詮相手も中学生なので、突き刺されるようなことはされませんでしたが……それでも自分より大きな相手に、抵抗できずに刃物で嬲られるのは恐怖でしかありませんでした。
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作者名：Mae | 作成日時：2020年10月22日 16時
