第37話:緊急 ページ38
「遅いですねぇ、3人とも。」
緑間邸で待ちぼうけの6人。
頭を使い、バスケと同量とは言わないものの相応のエネルギーを使用しているためか、空腹で仕方がない。
「おなかすいたァ」と紫原が机になだれかかる。
「やはり荷物が重くて手間取っているのかもしれないな。少し様子を見に行くか?」
「そうですね。手がふさがっているのかもしれませんし……」
そう行って赤司、黒子が立ち上がろうとした時だった。
ブーッ、ブーッと黒子のスマホが大きな音をたてて鳴る。
青峰が「着信どんだけデカくしてんだよ、」とボヤくが黒子の耳には既に入っていない。
黒子が瞬時に画面を開く。
「……!!!……A……!!」
ただならぬ様子の黒子、そして彼が発した名前に反応し、赤司がスマホを覗き込む。
見ると画面には「A」「緊急」という言葉と、居場所を示しているであろうマップが表示されている。
「赤司君……!A達に何かあったかもしれません……!!」
「落ち着け、テツヤ。どういうことだ?」
彼にしては珍しく捲し立てるように喋る黒子を赤司が制する。
黒子は自分が取り乱していたことに気付き、一度深く息を吐くと皆に見えるように携帯の画面を向ける。
「Aの携帯には緊急事態を知らせる防犯アプリが入ってるんです。開いて3秒長押しするとボクの携帯に居場所を知らせるようになっています。
余程のことがなければ使うことは無いし、仮に間違って押したとしてもすぐ訂正の連絡を入れてくれるはずなんです……!」
2人のやりとりは他のメンバーにも聞こえていたようで、緊迫した空気を察知していた。
女子3人では解決できないような何かに、巻き込まれている?
赤司は顔色を変え、苦い表情でなるほど、と呟いた。
「場所はその地図の通りなのか?」
「恐らく、」
「俺にも見せるのだよ、……あの公園か。
すぐ近くなのだよ。走れば3,4分だ」
「急ぎましょう……!」
携帯だけを持って黒子が立ち上がる。
続く赤司が振り返って言う。
「無いに越したことはないが戦力や人数による威圧が必要かもしれない。大輝、涼太、敦も」
「分かってるっスよ!」
「行くに決まってんだろ」
黒子がリビングのドアを開けた時には全員が動き出していた。
戸締りもそこそこに、目的の公園へと駆け出していく6人。
(すぐに行く……無事でいてくれ、A……!)
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作者名:Mae | 作成日時:2020年10月22日 16時