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第27話:待合 ページ28

翌日。

約束した9時に、図書館の前で彼を待つ。
かなり近所なので、いつも待ち合わせではなく現地集合する形を取っている。

今はまだ少し前だけど、テツくんは時間は守る人だ。バラバラに来ても大体いつも2人とも時間より前に来るんだよね。

9時5分前、そろそろ来るかな、と辺りを見回すと、遠方からなにやら派手な集団が近付いて来るのが見える。


……え。

まさか?


あんなにカラフルで高身長のグループは、あの人達しかいない。
先頭を歩くは赤髪の帝王。

なにやらわいわいと喋っているようだったが、ふいに顔がこちらを向く。


(ッ逃げよう!!!!)


目が合う前に私は入口と反対方向に歩き出していた。

別に昨日知り合った人達だし、逃げる必要は無いはずなのに、本能的に体が全力で逃げ出していた。

早歩きで裏手に出る門の方に進むと、角で誰かとぶつかりそうになる。


「わ。……あれ、A。
帰るんですか?」


「わ!?テツくん!」


きょとんとした顔で、おはようございます、いつもより遅れちゃいました?と呑気に挨拶。
私としたことがテツくんに気付かないとは。


「どうしたんですか、そんなに慌てて。
忘れ物ですか?」

「いや、そうじゃなくて!えっと、なんていうか」


なんと言って説明すればいいか、そもそもどうして逃げようとしてるのか自分でも説明出来ないまま、えっとー、と言葉を濁らせていると。


「おはよう。A。
どこに行くのかな?」


「ぎゃ!?」


ぽん、と肩に手を置かれて変な声が出た。
振り向くとにこりと爽やかな笑顔の赤司さん。

捕まった。逃げられない、これなんてデジャヴ。


「あれ、赤司君。
おはようございます。」

テツ君はなんとなく事情が分かったようで、しかし表情は変えないまま赤司さんにも挨拶する。

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作者名:Mae | 作成日時:2020年10月22日 16時

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