3話 犬を拾いました。 ページ4
『あ、あのっ、大丈夫…ですか?』
私は段ボールの前まで行って、その場でかがんで声をかけた。
「うぅ…。」
その男の人は涙目のまま顔だけをあげてから、安心したのか、私に飛びついた。
『えぇ!?;あ、あのっ…』
「助けてほしんだ…。俺を君の家において…?ここはどこかも分かんない…。」
なんて泣きつかれてしまってはどうしようもない。
それに言ってることも詳しく聞きたいし…
『とりあえず、私の家に…どうぞ。』
*
「うぅ…すいません、ありがとうございます…」
さっきとは違って、少し落ち着いたらしい。
今は私が今朝食べた残りのスープを美味しそうに食べてくれている。
『あ、寒くないですか…?』
「うん。大丈夫です。」
えっと何か色々聞かなきゃな。
あと、今日は部活に行かないっと。
こんなことになったら行けないよね。
『えっと、私は桐島Aです。適当に呼んでくれればいいです、あなたは…?』
「あ、俺は一十木音也!助けてくれてありがとう!えっと、Aでいいかな、宜しく!」
一十木音也くんっていうのか。
『はい、なんでも大丈夫です。それで、音也くん、家とかは…?』
急にしょぼーんとした顔で、
「それが分からないんだ…。ここの場所も見たことがなくて…。
最後に覚えてるのは那月が、友達がクッキーをくれたんだけど…。それから何も覚えて無くて…。」
『そうなんですか…。それはいつですか?』
「本当に最近だと思うよ。昨日のことのように覚えてるもん…。」
それは困ったなぁ…深く聞くこともあんまり良くないと思うし…。
んー仕方ない。
『えっと、音也くん。』
「なに?音也でいいよ。」
『分かった、音也。私の家で良ければ、帰る方法が見つかるまで、ここに居ていいよ。』
「えっ、いいの!?」
『そりゃあ、困ってるからね;いいよ?』
「やったあー!ありがとう、A!!」
今更だけど、さらっと名前呼びは恥ずかしいなぁ…//
そんなこと考えてたらいつの間にか音也が近くに。
「えへへ、ありがとう!」なんて言って抱きついてきたから、不覚にも可愛いなんて思っちゃった。
こんなの可愛い飼い犬みたいじゃないか。
今日、犬を拾いました。
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なっちー☆ - 更新頑張ってください!応援してます! (2016年10月18日 23時) (レス) id: 34d9e994ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おとてら* | 作成日時:2016年8月20日 14時