【オリジナル】カイヤナイトに手を伸ばしact.Ⅱ (ページ2)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:836 hit

4-3 ページ2

・

「……ふっふっふ、甘いね『メシア』……何とボク、もうこの謎解いちゃいましたっ!!まぁボクくらいの天才ヒーローにかかればこのくらいお茶の子さいさいだね〜!!」

嬉しそうに声を上げる愛香さん。
対照的にまだ苦しそうな顔の七星さん。
そりゃあそうだ、あんなものを見てしまったのだから。

「……鏡花ちゃん、どうかしたの？」
「杏沙さん、えっと、その」

七星さん、そして彼女に付き添っている杏沙さんに近づく。
七星さんが心配で、と言えば

「そうだよね……。あんなもの見せられたらこうなっても仕方がないよね……」

と七星さんの背中をさする杏沙さん。

「和奏……和奏……」

七星さんの涙がぼたぼたとアスファルトの上に落ちて染みを作る。
和奏。……人の名前、だろうか。
助けて、和奏。
悲痛な声を漏らす彼女はまるで私たちのことが見えてないかのように同じ言葉を言い続ける。
和奏さん。七星さんの大事な人だろうか。
私にとっての、あの子みたいな。

「ごめん、鏡花ちゃん。七星ちゃんの付き添い、交代してもらってもいいかな」
「はい、大丈夫です」

みんなの元へ合流していく杏沙さんを見送った後、未だ視線を地面に向ける七星さんに近づく。

「七星さん」

声をかけるとようやく七星さんは顔を上げた。
そしてぽつりと、和奏、と零す。
すこしの間流れる沈黙。
別の人の名前を零したことに気づいた七星さんは、はっ、と息をのむとすぐにごめんなさい、と謝る。
気にしないで、と彼女の手を握りしめる。小さく、震えてる。

「あの」
「はい……？」
「和奏さん、って人のお話、聞いてもいいですか」

・