音と風の物語【Ｊuｎ.Ｍ】 (ページ5)

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＃５．相談ページ5

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楽器店のレジの仕事を終えて

午後は講師としてレッスンに入る前に
休憩をとることにした。

その時間を利用して

売り場のソフトケースを物色していた。

「Aちゃん、ケース変えるの？」

売り場の先輩に声をかけられる。

『この間転んだ時に大きな傷を作っちゃって。。。。

あまりに目立つし
古かったから変えようかなぁーって。』

この間派手に転んだ時。

トランペットの入った楽器ケースに大きな擦り傷が入っていた。

幸い楽器は無事で

ほっと胸をなでおろす。

ちょうどケースも古かったし。。。

いいのがあったら変えようかなって思ってたけど

「今そこにあるだけだけど、
来月には新色入るから

急ぎじゃなかったら
待ってもいいかもよ？」

『そだなー、ここにあるのは今のとほとんど変わらないし。。。』

せっかくだから

気分を変えるかわいい色のケースにしたい。

今の黒じゃ
運気も上がらない気がして

入荷を待つことにした。

レッスン室に移動しようとエレベーターの前に立った時

降りてきたお客様に見知った顔があるのに気づく。

『、、、先輩？』

「おー！！つって、
お前に用があってきたんだよ。

ちょっと相談に乗ってくんね？」

大塚先輩は大学時代のオケの3つ上の先輩で。

厳しくて
口も悪くて
ガサツなところもあったけど

ストレートなところが裏がないから

友達も多くて

トロンボーンもうまいし
女の子からも結構モテる人だった。

そんな先輩はなぜか私をかわいがってくれてて

たまにバイト先のお店にも来てくれていた。

最近は忙しかったのか、

もう1年近く顔を合わせていなかったのだけれど。

『先輩お久しぶりです。』

そう声をかけたけど

「おー、って、そんなんどうでもいいわ。

相談。乗るの乗らないの？」

ふふ、先輩のこんな口調ももう慣れっこ。

元気そうでなにより。

『乗る乗る、乗りますよ？』

私のその言葉を待ってましたと言わんばかりに
にぃっと笑った大塚先輩。

「お前、今日の夕方から時間ない？」

『んーと、今からレッスンなんで、、、
17時には空きます。』

「じゃ、決まり。
この楽譜渡しとくから
18時からのレコーディング手伝ってくんない？」

え、レコーディング！？

しかも、今日？

えぇぇぇーっ。

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