音と風の物語【Ｊuｎ.Ｍ】 (ページ21)

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＃２１．場違いページ21

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いくつかのカットの撮影をしたら

チェックのために休憩をとって

それが何度か繰り返される。

大塚「A、大丈夫か？」

『はぃっ、大丈夫です。

でも思ってたよりずっとハードですね。』

渡されたペットボトルで

乱れかけた呼吸を整えようとコクッと一口

のどを潤した。

「お前病み上がりみたいだからな、キツくなったら言えよ？」

『はい、ありがとうございます。』

先輩はいつもやさしい。

ぶっきらぼうで口も悪いけど

こんな時はこうやって気にかけてくれる先輩の優しさがありがたい。

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「大塚さーん！ちょっといいっすか？」

少し向こうから先輩を呼ぶ声がする。

大塚「はい！」

勢いよく立ち上がった時、
その声の主はもうすぐそばにいて

「次のシーン、その子の立ち位置変えたいんすけど。」って

私を見て話を始めた。

その子って、、、私？

撮影の時のバンドはざっと横並びで

私は内側に入ったところに立っていた。

私、なんかしたかな、、、

「ちょっとさっきのシーン見てもらえます？」

スタッフさんが
先輩をモニターに誘導したから

私はそのままその場にたたずんでいたけど

「あ、、、っと、美波さんだっけ、あなたも。」

え、私？？

びっくりして先輩を見ちゃったけど

私の不安そうな顔に

うん、ってうなずいた先輩の背中を

あわてて追いかけた。

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モニターの前には

監督さんとスタッフさんたちがいて
その中に松本さんもいる。

みんなじーっと見て
あーでもない、こーでもないと話をしていた様子だった。

ちらっとこちらを見る松本さんと目が合って

その目がとっても真剣で、、、

私は思わず身構える。

そんなとこに、、、

なんで呼ばれたんだろう。

ドキドキしながら先輩の隣に立つしかなくて。

そしたら、

「力抜け」

って小さな声が降ってきた。

先輩、私、なんだか場違いなとこに来ちゃった気がするよ。。。

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