その音柱、誘拐犯。【宇髄天元】

捌 ページ9

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そんな愛しい彼が最後に来てから、もう二ヶ月も経つ。

今までも来てくれる頻度に差はあったものの
ここまで間を開けたのは初めてだった。




もしかして、怪我でも負ったんじゃないかしら。




それとも。
ついに、飽きられたのね…？





悲しくはあったけれど、いつかこうなるのが分かってもいたから思ったほど辛くはなかった。


それに天元はいつの間にか忍の世界から足を洗って
今では人を助ける仕事をしているのだとか。


だけどそれすら命懸けの世界らしく、
天元は生まれてこの方命を惜しむ暇など無いんじゃないだろうかと心配になる。








『もっと、自分を大切にしてよ。』




いつか言ったその言葉に、天元は眉を下げて笑った。
その表情の裏は読めなかった。




｢…今まで散々人の命を奪ってきたんだぜ？｣



｢……お前の家族だって、な。｣






静かに呟いたその言葉を否定出来るほど
人間が出来ていなかった私は口をつぐんだ。





『……でも、』


｢だから俺は、地獄に落ちる前に一つでも多くの命を救いてえんだ。派手にな。｣






本当に地獄に落ちると思っているんだ。この人は。


それは彼の口癖の一つでもあった。





『天元が地獄に落ちるなら、私も行くわ。』




そう言ったら、彼は悲しそうに笑ってこう言ったっけ。







｢そりゃ嬉しいけどよ、お前は来んな。


そこ(・・)にAが来ても嬉しくはねえよ｣






“だから、お前は好きな奴と一緒に生きろ。な？”









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