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人見知りの俺でも一緒にいて苦痛じゃない、黙ることを気まずいとしない、不思議な雰囲気を持つ人だった。
「嬉しいなあ、こうやって言ってくれんの」
ちょっと休憩、喉痛い、と苦笑いして水を飲んだ後にAさんは言った。はあ、と腑抜けた返事しかできなかった訳だが。
「教えるって、結構ムズいねんな。言葉選びも慎重にしなあかんし、相手の気持ちも尊重せなあかん」
貴重な体験ありがとう、と笑いかける。ああ、この人はこんな性格だから、きっと成功してるんだろうなと思った。
阪本「いやこちらこそ……こんないっぱい付き合ってもらって」
「あは、私の経験にもなってるから気にしないでな。」
阪本くん、あった時より圧倒的に上手くなってる、めちゃくちゃ成長してるよ、と歌詞の紙束を見ながら言った。
「伸びしろがあるねえ、教えがいがあるわあ。バンドだけじゃなくて本業のお笑いも大切にね」
阪本「うわ、お節介おばさんや」
「お節介おばさん宇宙人や私は」
まじでお笑いの先輩にやるみたいな粗いボケにも対応してくれる。
この人、寛容とか以前にお笑いというものが遺伝子に組み込まれすぎやろ、と思わず笑ってしまった。
そんなこんなで対バン当日。俺たちが、というか辻さんが誘ったこのツーマンだから、先にマジェマジェが出番。
「まっじぇーまじぇーまじぇー」
おう!阪本くん!今日は楽しもう!と、自身の導入曲を口ずさみながら、肩を組まれて俺は満更でもない。もう完全に彼女のことが好きである。
阪本「吐かないでくださいよ」
「あ、昨日飲んだのバレた?酒臭い?」
阪本「僕が言えることじゃないですけどめちゃくちゃ酒臭いです」
「うわマジか!ゲップでたらどうしよ」
阪本「そんなライブあっていいわけないやろ笑」
あはは大丈夫、二日酔いぐらいが楽しいから、とAさんはフラフラ(二日酔いと聞いたからそう見えるかもしれないが)奥の方へ着替えに行った。
辻「えらいAさんと仲いいやん」
阪本「仲ようさせてもらってますけど」
辻「はは笑 好き?」
阪本「……どういう意味ですか、それ?」
辻「えー?どういう意味やと思う?」
辻さんってほんま、恋愛観点で後輩のことおちょくるん好きよな。自然と眉間に寄ったシワを解しながら、サングラスをかける。
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流(プロフ) - 優香さん» お久しぶりです〜😭りぼんやっぱりマストなんですね……私はばっちりコロコロ読んでました 論外すぎる (5月11日 1時) (レス) id: a6a9c1ba3f (このIDを非表示/違反報告)
優香(プロフ) - お久しぶりです!ちゃおとりぼんで吹き出しました笑 私はりぼんとなかよしでしたw (5月9日 23時) (レス) @page36 id: aada9f26af (このIDを非表示/違反報告)
流(プロフ) - △さん» わーー良かったです〜😭ちゃんとオチとして落とせたのか不安でしたがそう言っていただけて安心しました……😢❤️この小説執筆意欲のフルエンジンかかってる時に書いたのでめちゃくちゃまとまってます笑 (5月7日 10時) (レス) id: a6a9c1ba3f (このIDを非表示/違反報告)
流(プロフ) - さかよさん» コメントありがとうございます😭やっぱり東京進出悲しいくて書いちゃいました😭こちらこそこれからもよろしくお願いします🙏 (5月7日 10時) (レス) @page28 id: a6a9c1ba3f (このIDを非表示/違反報告)
△ - 秋定さんと星座の話めちゃくちゃ最高でした!!!全部が全部刺さりすぎて放心してます!!!公開してくださってありがとう!!!!!! (5月7日 1時) (レス) @page30 id: 733d145fde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流 | 作成日時:2023年2月22日 2時