花 38 ページ40
綺羅side
今日は久々の休日だ。最近HE★VENSでの活動やバライティーなど出演が多かったから、落ち着いて過ごすことができる。
今日は気に入っているある場所へ行こうと思う。
ふと、足元に白い帽子が落ちてきた。風に飛ばされたのだろう。拾って埃を払うと、こちらに駆けてくる人物がいた。
ナオミ「ごっ、ごめんなさい……!あ、皇さん」
何処かで見覚えがあると思ったらナオミか。今日はいつもとは違う白色が基調で所々スカイブルーの刺繍が入ったロングのワン.ピース。おしとやかさが全面に出ていて綺麗だと思った。
綺「………休日か?」
ナオミ「はい。と言っても私だけなんです。お姉ちゃん達は仕事があって……。私は演技力向上のために人間観察を……」
人間観察……。それはまた新しい演技取得方法だ。
ナオミ「恋羽姉がしてみてって言うからやってみているところです」
なるほど。ナギからよく恋羽の話を聞く。ナギが言っている通り元気と斜め上の行動で人を動かしているらしい。
綺「……何だか……疲れているか?」
あまり元気がないと言うか顔が疲れている。
ナオミ「あ……その、人混みが苦手で……」
ああ、ナオミは人見知りだった覚えがある。確かに人見知りがこんな大通りを歩いていたら疲れてしまうだろう。
綺「少し………着いてきてくれるか」
ここで別れるのも気が引ける。どうせなら俺が今行こうとしていた所に連れていこう。あそこは人がいないからちょうど良い。
はぐれないように、と手を出すと恐る恐ると言った感じで手を繋いだ。
小さいな。それに小柄で可愛らしいと思う。それでも緊張しているのか少し震えている。まるで小動物のようだ。
ナオミを引っ張り連れてきたのは海が見える山の麓だ。木の柵で出来た小さな展望台なため人はおらず山の麓で空気も爽やかだ。
ナオミ「わぁ!綺麗なところですね!」
ここは俺の最近お気に入りの場所。ここに来ると俺も疲れが癒された。良かった、ナオミの顔にも笑顔が戻った。
綺「ああ。……俺の、お気に入りの場所だ」
時折吹く優しい風がの髪を揺らす。それを押さえたナオミは普段では見えない笑顔でこちらを向いた。
ナオミ「連れてきてくれてありがとうございます」
可愛い、と思った。鼓動が速くなった。
ナオミ「素敵な場所で、さっきの疲れが嘘みたいです」
輝いた瞳で海を見つめるナオミにまた鼓動が速くなる。
これは一体、何なんだろうか。
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作者名:観月るう | 作成日時:2017年11月29日 0時