花 32 ページ34
ナオミside
とうとうこの日が来てしまった。
ナオミ「緊張するな………」
今日は皇さんと少し話せる日。寿さんのおかげで、5分くらいなら、と向こうの社長さんがOKしてくれた。
そろそろ皇さんインタビューが終わる予定の時間だ。私、上手く話せるかな?
その時、コンコンとドアがノックされた。
ナオミ「はい」
ドアを開けたのは皇さんだ。全てを見透かすかのような金色の瞳に見つめられ、しばらく石のように固まってしまった。
ナオミ「あ………こ、こんにちは。来てくださって、ありがとうございます」
綺「いや………俺も、話したいと……思っていた」
私の心臓、とてもドキドキしてる。知らない人と2人きり。怖いけど、ちゃんと前に進まないと。
ナオミ「あの……ソロ曲の発表、おめでとうございます」
綺「……… ありがとう」
はい会話終了!どうして喋らない人同士をくっ付けちゃったかなぁ!?
えーっと、どうすればいいの!?
綺「話したいことって、何だ?」
ナオミ「あ、えっと……クロスユニットをするので、お互いのことを知って、もっと良い曲を作れたらなと……思ったんですけど……」
言いながら声がだんだん小さくなっていく。皇さんは忙しい。無理を言って時間を作ってくれたけど、発表まではまだたくさん時間がある。何も今じゃなくていい。
1つ思うとどんどん溢れてくる。もしかしたら、もしかしたら、もしかしたら…………。
綺「俺も………そう思う。互いのことを知れば、良いところを活かした曲が出来上がる」
それから皇さんは、家のこと、自分のこと、HE★VENSのメンバーとのこと、大まかに色々話してくれた。
私も自分のことと姉のこと、アイドルになった理由を話した。
それが何だか、楽しくて。たったの5分なのに、皇さんと距離が縮まった気がした。
もう皇さんが次の仕事に行く時間だ。
ナオミ「今日は、ありがとうございました」
綺「俺も…………楽しかった」
部屋から出る前、皇さんは振り向いた。
綺「また、こうやって話そう。出来るだけ……時間を作る」
皇さんの口許が弧を描いた。
ナオミ「はい……!」
良かった。皇さんと仲良くなれそうだ。
30人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:観月るう | 作成日時:2017年11月29日 0時