遅咲きのkiss【風丸 一郎太】

Period5 ページ6

「じゃあね、また明日」
「ああ」

しばらくすると、家まで着いてしまった。
＿なんかもう少し、一緒にいたいな。

そう思いながら、扉を開けて家の中に入っていく彼女の後姿を見つめていた。
すると、家に入る直前に振り向いて、手を振ってきた。
俺もそれに振り返していたら、無意識のうちに彼女の名前を呼んでいた。

「なーに？いっくん」

コテン、と首をかしげて聞いてくる。
その動作一つ一つが可愛らしい。

しかし、特に用はなかった。
ただ、なんとなく、呼んでいた。
必死に頭を回転させて、用を考えた。
そうしたらひとつ、みつかった。

「また今度、手作りのお菓子つくってな」

はは、なんかまもちゃんみたいだね。と笑われた。
俺は円堂と違って…Aの作ったお菓子だから食べたいんだけどな。＿そんなこと面と向かっては言えない。

「分かった。絶対作るね。今度は何作ろうかな〜」
「ありがとう」

クッキーがいいかな。あ、けどタルトとかもいいかも。
と想像を膨らますAに、
冷えるから中に入りな。
と優しくたしなめた。

「はいはい。じゃあね、いっくん」
「じゃあな」

今度こそ中に入っていくAを見届けて、俺も家へ帰った。


もらいっぱなしは悪いから、俺も何かAにあげようかな。
けど、何が喜ぶかな…？


そんなことを考えながら夜を過ごした。

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