第3話。 ページ4
Aside。
カ「…A?それとも彩水か?」
さっきの物音で起きたのだろう。カラ松兄さんが階段を降りてくる音がする。
「…私、Aだよ。ハァ…ごめん、朝から。ニートの貴重な時間奪っちゃって。」
もちろん最後のは冗談なのだが、カラ松兄さんは気にもしないで言う。
カ「大丈夫か?また彩水に何か言われたんだろうが、気にすることはない。彩水は彩水の考え、AはAの考えがあるんだから、な?」
私の頭を撫でながら顔を覗き込み、ニコッと笑う兄の姿に、不覚にもキュンとくるものがある。
でも、それは次第に本当の妹の様な扱いをされていると気づいて、ズキリと痛む。
その痛みをかき消すように、冗談をかます。
「…寝癖つけたまま言われても。」
カ「ね、寝癖!?…少し待っていろ。すぐに直してくるからな。」
ビュンと洗面所へ向かうと気づくだろう。
「…ヨダレの跡もついてるんだよね。」
顔が真っ赤になって帰ってきた次男を見るのはもう少し時間がかかりそうだ。
「…ごめんって。」
カ「…いや、気にするな。」
「いや、まぁ…その、確かに私がヨダレの跡がついてるって言わなかったのが悪いんだけど…さ。」
カ「…いいんだ、忘れてくれ。」
…まさか、ここまで機嫌が悪くなるとは。
カラ松兄さんにはカラ松兄さんなりに、義妹にカッコつけて(?)励ましたのに、寝癖&ヨダレの跡のダブルパンチをそのままにして励ましたのが、自分のプライドを傷つけたみたいだった。
なので今現在、絶賛いじけ中。
私に背を向けて、体操座りしている。
お「ハハハッ、そんなに気にするなってカラ松ぅ。」
カ「おそ松兄さん…」
同じように寝癖をつけたまま、
お「お前がカッコつけようとして失敗することなんてほとんどだろ?」
カ「…」
……兄さん、それはフォローになってない。
「あ、そうだ。兄さん達、今日の予定は?」
お「俺はお馬さん見に行くとすっかな。」
チ「僕はニャーちゃんのライブだよ。」
一「…昼ぐらいに、猫んとこ行ってくる。」
十「ドブ川バタフラーイ!!」
ト「女の子達とデート行ってくるね」
…みんなそれぞれだなぁ。
「カラ松兄さんは?」
カ「うーん、特に予定もないしな。Aと一緒にいるとする。」
ニヘッとだらしなく笑う松野家の次男は、どうしてこんなに私たらしなのだろう。
「優しくなんて、しなくていいのに。」
ぼそっと呟いた言葉は誰の耳にも届かずに消えた。
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紅松
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作者名:にゃおにくす | 作成日時:2017年4月30日 7時