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3話 ページ4

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「チビ太ー、おかわりおかわりー」


あれから私はおそ松たちと鉢合わせしないよう、チビ太の屋台に避難していた。


「オメー、いつまでここにいるつもりだバーロー!」

「えー、いいじゃーん、客もいないことだしさ」

「何気に刺さること言ってんじゃねーよ!」


チビ太は、私が素を晒せる唯一の人。だから、やっぱりここは居心地が良かったりするんだ。


いやー、それにしてもチビ太のおでんサイコー。


満足げにもさもさ頬張っていれば、


「で、オメーはいつまでこんな事やってるつもりだよ」


急に声のトーンを落としたと思えば、そんな話。ああ、またか。いつもこれだよ。


私はへらへらっと笑って


「ははっ、なんのこと言ってんのチビ太〜」


話題の転換を試みる。すると


「俺ぁよ、こんなことしたって意味ねーと思うぞ。誰も幸せになんざならねぇ。んなことしたって」


ぐつぐつぐつ。おでんが煮える。


私はまた一口、大根を頬張る。あれ、なんだか苦い。


「ねえチビ太。大根焦げてるよ 」

「話そらすんじゃねーよ」

「あれ。はんぺんもだ」


後味引く苦味。私はその苦味に顔を歪める。


そして一呼吸置いてから


「あのね、チビ太」


ひとまず箸を置いて、私はチビ太の瞳をまっすぐ見つめる。と言っても向こうには私の表情なんてわかるはずもないんだけど。



「私は、誰かを幸せにしたいんじゃないんだよ」

「は?」

「私が今やってることは、トト子のためなの。トト子が幸せなら私も幸せ。ね、ほら。一石二鳥だよ」


笑って見せれば、おでん屋店主は酷く悲しそうな表情を私に見せる。


「それでも、」

「チビ太ー、酒くれ酒ー」

「ちょっとおそ松兄さん、飲みすぎないでよ」

「いやー、今日のトト子ちゃんまじ可愛かったねー」

「ふっ、さすがカラ松ガール」

「黙れ」

「ハッスルハッスルマッスルマッスル!!!」


チビ太の声をかき消すように騒がしい六人が入ってくる。


そして私の姿を捉えると、ぴたりと会話をやめる。ぐつぐつぐつと、おでんの煮える音だけがその場に響く。


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この前のあいつ(プロフ) - おみかんさん» 全部見てくださったのですか!嬉しいです!応援ありがとうございます! (2016年3月24日 10時) (レス) id: d7f15c5c72 (このIDを非表示/違反報告)
おみかん(プロフ) - こんにちは!作風すごく好きです。小説3つすべて拝見しました。とても素敵でどれも続きが楽しみです。応援してます。 (2016年3月22日 5時) (レス) id: 9b40e47e5e (このIDを非表示/違反報告)
この前のあいつ(プロフ) - 魔女?さん» わかりにくくてごめんなさい。主人公は栗毛の子なんです。プロローグは、妹のトト子ちゃんの方を先に書いたんです。本当に混乱させてしまってすみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: 5a53ac0796 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 私が違ったら、すみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 主人公ちゃんは、黒髪ロングだったと思うんですが……? (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:この前のあいつ | 作成日時:2016年1月23日 21時

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