28話 ページ29
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ぱちり、目を開ければ暗黒の世界。今は何時か、それどころか朝なのか昼なのか夜なのか。それすらわからない。
一人でぼんやり真っ暗な部屋の天井をベッドに横たわり見つめていれば、ノックの音。
「……はい」
無愛想に返事をすれば
「お姉ちゃんに、お客さん……」
トト子は私が部屋からでなくなってからなんでか、元気がないようであった。その理由は、よくわからない。
まあしかたがない。まともに話したのは、いつだったか。
……ああ、一松の言葉が頭をよぎる。
トト子の呼びかけに返事をする間もなく、ガチャリと開かれた扉の先には
「ち、チビ太!?」
予想外の人物であった。
「くれーよ、バーロー!」
部屋の暗さに文句を言ってすぐにカーテンをぴしゃっと開ける。久々の太陽に目を細める。
外はまだ完全に明るかった。
「って、オメー、痩せたか?飯食ってんのか?」
まるで自宅のように振る舞うチビ太に苦笑いすると
「はい、ちゃんとご飯食べてますよ」
弱々しく微笑む私にチビ太はより一層不信感を募らせたような表情を私に見せた。
「嘘ついてんじゃねーよ。ほら、俺様の超超元気が出るおでんだぜ。これ食ってまた食いに来いよ」
「……ありがとうございます」
プラスチックの容器に入れられたそれは、まだ温かく、被せられた蓋に水滴がびっしりついていた。
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この前のあいつ(プロフ) - おみかんさん» 全部見てくださったのですか!嬉しいです!応援ありがとうございます! (2016年3月24日 10時) (レス) id: d7f15c5c72 (このIDを非表示/違反報告)
おみかん(プロフ) - こんにちは!作風すごく好きです。小説3つすべて拝見しました。とても素敵でどれも続きが楽しみです。応援してます。 (2016年3月22日 5時) (レス) id: 9b40e47e5e (このIDを非表示/違反報告)
この前のあいつ(プロフ) - 魔女?さん» わかりにくくてごめんなさい。主人公は栗毛の子なんです。プロローグは、妹のトト子ちゃんの方を先に書いたんです。本当に混乱させてしまってすみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: 5a53ac0796 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 私が違ったら、すみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 主人公ちゃんは、黒髪ロングだったと思うんですが……? (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:この前のあいつ | 作成日時:2016年1月23日 21時