『私』 【おそ松さん】

26話 ページ27

.



――――――――――……。

あの日、ぼくがAちゃんをぶって以来、彼女を見かけることはなくなった。



おそ松兄さんに「謝ってこい」と、そう言われてぼくは機会を伺っていた。



「トド松。ちゃんと謝った？」

「……前より、会うチャンスが無くて」



ぼくがそう言うと、穏やかな兄の表情は突然鋭いものとなり


「んなもん、自分で作ればいいだろ」



そう、言葉を紡いだ。ほかの兄弟達は出掛けたのか、家にはぼくとおそ松兄さんしかいない状態だ。



「つーか、なんで偶然に頼っちゃうわけ？悪いのはお前だろ。ちゃんと誠意を持って頭下げてこいよ」

「で、でも、」

「言い訳すんな。考えろってこの前言ったろ？覚えてねーの？お前はもっと、あいつを見るべきだ」



ぼくの目を真っ直ぐ見てそう告げてから、おそ松兄さんもどこかへ出かけてしまった。



そしてぼくは、異様にむしゃくしゃしてきた。どうしてかは、わからない。



とりあえず目の前にあったテーブルをひっくり返した。



部屋は、めちゃめちゃになった。




.

27話→←25話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す