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11話 ページ12

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「ちーびたっ!」

「らっしゃい!……って、なんでぇ。オメーかよ」


私じゃ悪いのかよ、なんて思いながら木製の椅子に腰掛ける。



今日は夜遅くまでトト子が六つ子たちと遊ぶみたいなので、チビ太の屋台には来ないだろう。だから今日は前髪をあげてきた。


「んー、はんぺんちょうだい」

「またかよ」

「客の注文にケチつけんの?」

「つけてねーだろぃ。ほらよ」


最近チビ太、私への扱いが雑だ。酷い。素を見せられるのはチビ太だけなのに。この野郎。


「何睨んでんだよバーロー」

「睨んでませーん」




差し出されたはんぺんに口をつければじんわりと口の中に温かみが広がる。


「うへへ、美味い」

「ったりめーだ、バーロー!」


少し得意げになって、チビ太は頭を掻いた。


……そういえば、おそ松も褒めたりするとすぐ鼻の下を擦るくせがあったっけ……。


そう考えて、ハッとする。


な、何今更六つ子のこと考えてんだ。今、あいつらのお姫様はトト子だ。それを望んだのも私だし、そうさせたのも私。


それが私の幸せで、トト子の幸せ。

だから――、


「A?」

「え、な、なに?」

「ボーッとして、どうした」

「な、なんにもない」


くそ、どもった。


私はさっきの考えをかき消すように、急いでおでんを口の中に詰め込んだ。


そんな私のおかしな様子に、チビ太は首をかしげた。




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この前のあいつ(プロフ) - おみかんさん» 全部見てくださったのですか!嬉しいです!応援ありがとうございます! (2016年3月24日 10時) (レス) id: d7f15c5c72 (このIDを非表示/違反報告)
おみかん(プロフ) - こんにちは!作風すごく好きです。小説3つすべて拝見しました。とても素敵でどれも続きが楽しみです。応援してます。 (2016年3月22日 5時) (レス) id: 9b40e47e5e (このIDを非表示/違反報告)
この前のあいつ(プロフ) - 魔女?さん» わかりにくくてごめんなさい。主人公は栗毛の子なんです。プロローグは、妹のトト子ちゃんの方を先に書いたんです。本当に混乱させてしまってすみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: 5a53ac0796 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 私が違ったら、すみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 主人公ちゃんは、黒髪ロングだったと思うんですが……? (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:この前のあいつ | 作成日時:2016年1月23日 21時

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