□近い ページ24
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「楽しみだなぁ〜」
「オレもすっげー楽しみ!!」
2人で並んでお菓子屋さんに向かって歩きながら、私が呟くように言った言葉に十四松くんが嬉しそうにうなずいてくれた。
繰り出した町は、バレンタイン効果なのかハートの装飾が多かったり、カップルが大量に歩いてたりして、気のせいか空気がピンク色。
「カップルばっかりだねぇ…」
「チョロ松兄さんなら『ケツ毛燃えろバカップル!!』とか言いそうだね〜」
「チョロ松くん意外と言うよね……っ」
十四松くんの言葉に苦笑いしていると、慣れないヒールでコンクリートに躓いてこけそうになる。
「わ」と言いながらバランスを崩すと、すぐさま十四松くんが伸びきった袖越しに私の腕をぐいっと掴んで支えてくれた。
「っぶねー!!」
「わ、ごめん!ありがとう」
「ううん、この辺道凸凹してるもんねー気をつけて!」
十四松くんはニパッと笑うと、ぐいっと私の体制を治してくれる。つかまれた腕に伝わる力が思ったよりも強くって、ちょっとドキドキする。
(……男の子だなぁ)
前にも一度、思ったことをまた思ってしまう。
前にコレを伝えた時は「え!?オレ普通に男の子だよ!?見る!?」とか言ってズボンの中のもの見せようとしてきたりしたっけ。
思い出して小さく笑うと十四松くんが「なになになに!?なに笑ってんの!?」と私の顔をずいっと覗き込む。
「十四松くんって力あるし、意外と男の子だなぁって、思ってただけだよ。かっこいいなーって」
「…えぇ!?」
あれ、「ハッスルハッスルー!」とかって喜ぶかなと思っていたけど、十四松くんは照れ臭そうにぽりぽりとほっぺをかきながらうつむいた。
「…照れてるの?」
「…………っ近い!近いっす!」
十四松くんの顔を覗き込みながら言うと顔を真っ赤にしてすごい勢いでばびゅんと離れられた。
可愛いなぁとホクホクしながら「ごめんごめん」と笑うと十四松くんはいそいそと私の隣に戻ってくる。
「あ、着いたね」
「うっわー!すっげー甘い匂いするね!」
「うん!よーし食べるぞー!」
「オー!」
2人で気合いを入れるとおしゃれなお店の自動ドアをくぐった。
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