□おそ松 ページ7
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「なんっなのホントあの出っ歯」
私は財布片手に半ギレで職場を出た。
いっつも一人ランチをしている井矢見さんだから、私がちょーっと気を遣って「ランチ一緒にどうですか？」なんて誘ってあげたのに、「ミーとチミみたいな庶民の趣味が合うとは思えないザンス」とか言って断られた。
「ここのラーメン美味しいのに…」
教えてやるもんかと思いながら暖簾をくぐろうとすると、私の後ろからぎゅるるる〜っとお腹が鳴る音がした。
「…ラーメン食いてぇ」
「…」
「…金ないからむしろラーメンになりたい」
お腹を押さえて哀愁を漂わせている松野さんが立っていた。
「…奢りましょうか？」
「まじでっ！？」
おずおずと申し出ると、「うぉぉ！サンキュー！」と目をキラキラさせながらずいっと迫ってきた。
この前の松野さん宅での出来事の後遺症か、思わず後ずさりする私を気にかけることもなく「ラーメン二つー！」と嬉しそうに暖簾をくぐっていった。
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「生きててよかったー！！」
「このラーメンがあるだけで、人生に意味があると思えますよねぇ…」
ざまあみろ井矢見。と思うと、またイライラしてきた。
目の前で松野さんはすごい勢いで汁まで残さず飲み干すと「おかわり！」と叫んだ。
「ありがとな。…この辺の人？見ない顔だけど…」
「…」
松野さんの一言にピキリと私のこめかみの血管が縮む感じがした。井矢見さんへのイラつきとの相乗効果なのか、それとも…
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＿＿＿＿どちらさまですか？
＿＿＿＿…アンタ誰
＿＿＿＿……新手の逆ナンか
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「何回言わせれば気がすむんですかっ！！」
「え？」
机を叩いてキレると、松野さんは怯えた顔をして「ごめん、おかわりしちゃだめたったよな、ごめん」と必死で謝っている。
「私は平野Aですって！これで会うの6回目なのに見ない顔！？」
「…」
「しかも毎回毎回性格違うし！私のことおちょくってるんですか！？」
びしっと指差して言えば、松野さんは「あー…成る程」とニヤニヤ笑って私を座らせた。
「俺と、マトモな奴と、厨二病ナルシストと、捻くれ者と、ただの変人と、ぶりっ子」
「…」
松野さんの言葉にこくりと頷くと、「よし、仕事終わったら俺んちな。A」と楽しそうに笑うと「餃子追加ー！」と追加オーダーを始めた。
「…ぶりっ子で迫られたのに家なんていくわけないでしょう」
「大丈夫。今日は他に5人もいるから」
「え？」
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