■寝坊助 ページ32
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ピピピと鳥の鳴く声と、ふわふわ漂ってくるお味噌汁の匂いに「んー…」と目をさます。
すると映ったのは見慣れない天井ともうすっかり明るい室内。
私はがばっと起き上がると、転がっていた私のカバンから携帯を取り出して時間を調べる。
「もう9時じゃん！！ていうかここどこ！！」
布団から飛び出してすごい勢いで階段を降りると、おそ松さんちだとわかる。
確か昨日、チビ太さんの店でおそ松さんと飲んでいて…なんとなく記憶が蘇る。
「おはようございます…」と居間に入ると、卓袱台に9人分の朝ごはんが並んでいて「あらおはよう」と挨拶をされた。
「お、おそ松さんのご両親ですか？」
「そう、父と母です。よく眠れた？」
「あ、はい、おかげさまで…」
優しそうなお父さんとお母さんは私を見てニコニコ笑うと「いつもうちのニートたちがお世話になってます」と頭を下げた。
「そんなお世話にだなんて…」
「私たち、この間まで旅行行ってたから、その間Aちゃんに沢山お世話になったって聞いてね？」
「あんな息子だけどよかったら一人でももらってやって」
「ちょっとお父さん、Aちゃんに迷惑でしょ」
二人に苦笑いで受け答えると、「私仕事があるので…」と切り出す。
「仕事なら、おそ松が『今日は休みます』って井矢見さんに電話してたから大丈夫よ」
「え…」
「ニートたちを起こしてきてくれる？朝ごはんにしましょ」
お母さんは「娘欲しかったのよー」嬉しそうに笑っている。お父さんも「そうだなー男ばっかりだからなぁ」と楽しそうに笑った。
私は苦笑いで階段を上がって六つ子たちを起こしに行く。
昨日あんな醜態をさらしてしまって…少し恥ずかしい。
「おはようございます…」
そーっと襖を開けると、6人並んで仲良く一つの布団で眠りこけている。
(仲いいなぁ…)
「朝ですよー」と言いながら布団をバッと捲るけど、一人も起きる気配がない。
誰から起こすか…チョロ松さんがいいな…と考えるけれど、寝ている状態で6人を区別するのはまだ私にはできそうもない。
「起きてくださーい」
とりあえず端っこの人をと、腕まくりをして肩を揺すると、「ん」と虚ろな目が開いて私の目を見つめる。
「あ、おはようございま…」
「パンー！！」
何松さんか分からないけど、突然起きるといきなり私の腕にがぶっと噛み付く。
まさかの事態に、朝っぱらから私の絶叫が松野家になりひびいた。
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