■おんぶ ページ14
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「何がネイル変えましたーだ！お前のネイルなんて興味なさすぎてケツ毛燃えるわブース！！」
「…………」
「あはは！チョロ松もっと飲めー！」
「…………」
日本酒まで開けて、瓶を抱きしめながら顔を真っ赤にしてキレているチョロ松さんとトト子ちゃん。
二人ともお酒弱いんだ…。
「Aちゃん」
「ん？」
トト子ちゃんは少し潤んだ目で私を見つめる。「六つ子となかいいんだね〜」と楽しそうに言った。
「…私は平凡に平和に暮らしたいよ…」
「トト子には、Aちゃんがニートに寄生される未来が見える〜！」
「……そんな怖いこと言わないでよトト子ちゃん…」
「ふふふ、頑張ってねAちゃん」
「私でよかったら話し相手になるから〜！」とイタズラっぽく笑う彼女はどこまでもヒロインだ。無責任だけど…。
私は苦笑いで「ありがとう」と言うと、「そろそろ帰ろうかな…」と立ち上がった。
「あ、私払うね〜！」
「え、いいよ悪いし」
「いいのいいの！今ウチの魚屋儲かってるから」
「雑魚は財布しまいな〜」と口が悪いけど優しいトト子ちゃん。一番呑んだくれていた人を「かえりますよ」と揺すって起こすけど、起き上がる気配もないので仕方なくチョロ松さんを負ぶる。
「……っ重い」
「Aちゃん、置いていきなよそんなやつ〜」
「大丈夫大丈夫……トト子ちゃんは自分で帰れる？」
「うん。なーんかチョロ松くんのダサさで興醒め〜！
Aちゃん、今度は2人で飲も〜」
「次は奢らせてね」とトト子ちゃんに笑うと店を出た。
大の男を平日の昼間から背負って歩いているというこの状況に、チラチラと世間の目線が痛い。
「……チョロ松さん…」
「あのクソ兄貴…」
ぶつぶつと呟いているチョロ松さんは、自分で歩こうとする気配もなく、私は諦めて必死で家に向かって歩いた。
「チョロ松さん、着きましたよ」
「……」
「……お邪魔します」
起きないチョロ松さんを背負ったままそーっと引き戸に手をかけると、鍵がかかっていなかったので留守ではないらしい。
私はそーっと松野さん家に入って、リビングに「よいしょ」とチョロ松さんをおろすと、自分も「……疲れた」と思わず壁に寄りかかってしゃがみこんだ。
おそ松さんは私にチョロ松さんを押し付けてどこいったんだろと、ぼんやり考えていると、
顔を伏せたチョロ松さんが這い寄ってきてドンっと私の後ろの壁に両手をついた。
「え？」
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