■言い訳 ページ13
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「………」
「………」
目の前で日本酒をガバガバ飲んでいるチョロ松さんを、チュウハイをチビチビ飲みながら見ていると、「Aさん」と真面目な顔で語り出した。
「可愛い女の子を追ってしまうのは、男としての闘争本能というか…決して現実逃避とかそういうことではなくて…」
「あはは、可愛いですよねにゃーちゃん」
「わかりますか！」
ぱぁっと嬉しそうに顔を上げたチョロ松さんは「キモくないですか！？アイドルオタク！」と食い入るように私に迫る。
何をそんなに必死なんだろう…えっちな本を親に見られたくない的な心理かな…。
「可愛い女の子は目の保養ですもんね」
「そうなんです！」
「握手できなくて残念でしたね…」
「あのクソ松が……」
チョロ松さんは低い声でつぶやきながらイカの足を食い千切った。
私は沢庵をぽりぽり食べながら「握手会とかイベントとかよく行くんですか？」と尋ねると、チョロ松さんはキラキラした目で語り始める。
「今回の握手会はCDの特典で選ばれし者だけが行ける超プレミアで！あぁ…にゃーちゃん可愛いよにゃーちゃん…」
イベントで手に入れたらしいブロマイドを眺めながらニヤニヤ笑っているチョロ松さんに、ひいちゃダメだと思いつつ苦笑いで見つめる。
「あ、可愛い子といえばこの街にもいますよね」
「え？」
「商店街の魚屋さんの…」
「あ、チョロ松くん？」
言いかける私に、後ろから聞こえてきた声。振り返るとおめかししたトト子ちゃんが立っていた。
「トト子ちゃん！」
「あ、Aちゃんも！こんにちはー」
「Aさんとトト子ちゃん…知り合い？」
「チョロ松さんとトト子ちゃんも…？」
首をかしげる私に「僕は幼馴染で…」と説明するチョロ松さんに、私もこの前出会ったときのことを話す。
「一緒に座っていい？」と聞くトト子ちゃんに二人して「どうぞどうぞ！」と席を用意すると「ありがとう」と楽しげに座った。
「Aちゃんとチョロ松くんはデートかなにか？」
「違う違う違う！！Aさんはホントはおそ松兄さんと出かけてて！」
「じゃあおそ松くんとデートだったんだ」
「いや、それも違うんだけどね…」
「えー？そうなの？」と首をかしげるトト子ちゃんが可愛くて、二人してデレデレしてしまう。
幼馴染にこんな可愛い子がいるから、にゃーちゃんをクラスにいるレベルなんて言えたんだなとなんだか納得してしまった。
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