2.あの日を思い出して ページ2
チョロ松said
「なん、で…こん…な……」
「これでやっと…あははっ」
「おそ、松…兄さん……」
これが数分前の出来事だった。
狂ったこの時間、狂った兄さん、すべてが今までを壊した。
すべて……僕のせいだけど。
みんなは“快晴”って言葉を知っているのかな?そう。快晴っていうのはね、雲ひとつとしてない青空。
まるで今日みたいな日を言うんだよ。
「なぁ…チョロ松……」
「…なぁに、おそ、松兄…さん。」
「……。」
君の目には何が写っているのだろうか。少なくとも僕は…今、君しか写ってないよ。
「…可哀想なチョロ松。けどね、お前が悪かったと思うよ…??」
「…そ、う…かな??」
可哀想、か。君の手にあるハサミによって、ただただ僕が君の色に染められただけなんだけどな。
「だってお前が…まぁいいや。」
「……。」
おそ松兄さんは僕の足先から頭のてっぺんまで、視線でゆっくりと撫でていく。
僕と目が合うとニコッと昔の日のように微笑んだ。僕は今まで恐怖を感じなかったけれど、その時は怖いなと思った。
「災難だよね、本当に…」
「…なにが、だ…よ。」
「だってさ、お前、俺に愛されたから…愛されちゃったから、そんなに血を流してるわけなんだよ?」
おそ松兄さんは静かに目を閉じた。目尻に薄く涙をためているのを、僕は見逃したりなんかしない。
「俺に愛されて…かわいそうに。」
そう言葉を吐き捨てて、おそ松兄さんはどこか寂しそうに顔を歪めた。
「…何、いっ…てる、の?」
「え…??」
おそ松兄さんは、僕の血がついたハサミを床に落とした。カランッと軽い音をたてて落ちていくハサミを僕は見つめた。
「こん、な兄ちゃ…んに、愛され、たか、ら…僕は……幸せだ…った、んだよ…??」
あーあ…伝わってほしい。この気持ち…こう死にかけている状態でも、原因は君でも…僕は、君を…「 」として…
あはは、今更もう言えないけどね…
「まぁ…いいよ……」
最後に他の兄弟にも伝えたかったな。ずっと好きだったよ〜ってね。
「僕は…兄さんの、こと…」
「チョロ松っ!!!!!」
「…愛してたんだよ。」
意識が薄れていく。死ぬときって、意識がすぐプツッと消えるわけじゃないんだね。すこし苦しかったよ。
愛してる人に、“ちゃんと”愛してるって伝えられたら…苦しくなかったのかな??
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作者名:透和菜 | 作成日時:2018年2月18日 2時