41. 君自身が、 ページ42
夢主side
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"僕自身が愛"
その言葉があまりにもストンと私の中に入ってきて
酷く静かで、まるで二人しかいないかのような夜の道端で
十四松を確かめるように強く抱き締めながら、ひたすらに泣いた
「 よしよし 」
そんな私の頭をゆっくりと
意外と大きくて男らしい、十四松の手が撫でる
『 ………じゅ、四松 』
「 !!
うん 」
ずっと、暫く黙ったままだった私がやっと口を開けば
十四松が、まるで私が話すのを待っていたというような反応をする
「 なーに、Aちゃん 」
『 ……さっき十四松、新しい愛の形を教えてくれた 』
「 新しい…
え、あ、恋!? 」
そう
『 その、恋ってやつにはさ、特別な感情があるんでしょ 』
「 う、うん 」
家族や、友達の間には生まれない
特別な好きの気持ち
『 私、ちょっと前から
十四松を見ると胸がぽかぽかしたり
十四松といるとなんか、きゅんってしたり…? 』
「 !!! 」
今ならわかる
『 それって
私も十四松に、恋してるってことですか 』
と、静かに十四松に問いかける
「 それ… それは… 」
そんな私を、もっとぎゅっと抱きしめてくる十四松
「 それ!! 恋だよ!! 」
『 うわ 』
いきなり大声を出すから少しびっくりして
でも、あまりにも嬉しそうな声色に
なぜだか私も少し嬉しくなる
「 きっとAちゃんも、僕のことが好きで
きっとそれは、僕に恋をしてるんだよ
だから、Aちゃん自身も、僕にとっての愛 」
『 私が… あい 』
「 ちゃんと愛だよAちゃん 」
一番近くて、本来なら一番大切であるべき
自分の親に、名前すら呼ばれたことなんてなかった
でも
路地裏で出会った、ただの見知らぬ赤の他人に
ここまで愛を教えられて
名前を呼んで
頭を撫でて
抱きしめて
好きと言ってくれて
愛を与えてくれたその人
『 十四松 』
「 なーに!! 」
多分、これは
世にいう、告白、というやつ
中学くらいの時、周りの男女がそんなことで盛り上がっていたのを覚えている
私には、一生縁のないものだと思っていたのに
『 好きだよ 』
「 !!
ぼ、僕も、僕も、大好き!!!! 」
路地裏の前で、
薄暗い街灯の下で
ただ二人、ずっと抱きしめあっていた
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私の愛。
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しゃび(プロフ) - リンゴさん» コメントありがとうございます。感動して頂けたようで何よりです…!確実に言えることではないのですが、もしかしたらまた続きのようなものを書く可能性もありますので、その時はぜひよろしくお願いします。続きを望んで頂けて嬉しい限りです。 (2019年3月6日 11時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ - とても感動しました。わたし、十四松推しなのですがもっともっとつづきをみたかったです。 (2019年3月6日 1時) (レス) id: fa8cdcdbb1 (このIDを非表示/違反報告)
しゃび(プロフ) - 輝舞姫さん» コメントありがとうございます。そう言って下さり嬉しい限りです。一松推しなのに読んで下さりありがとうございます。 (2018年8月26日 21時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
輝舞姫(プロフ) - 完結おめでとうございますー。面白かったです。一松推しなのですが、十四松の事が好きになりそうでした。 (2018年8月26日 18時) (レス) id: e5c704bd79 (このIDを非表示/違反報告)
しゃび(プロフ) - 美羽さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。この小説はこれにて完結ですが、最後まで楽しんでいただけていたら幸いです。 (2018年8月26日 11時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃび | 作成日時:2018年7月22日 16時