隠さないで 【 炭治郎 】 ページ11
炭治郎side
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「 何か俺に隠してないか? 」
『 い、いいえ? 』
絶対嘘、目が泳いでいる
何か隠し事をしたいような嘘の匂いと
微かな、血の匂いがする
「 俺は鼻がいいんだ、知ってるだろ? 」
俺の鼻は誤魔化せないぞ
この血の匂いは、きっとどこか怪我をしている
そんな匂いだ
重症でないにせよ、俺にそれを隠しているのはなんだか腑に落ちない
「 怪我、してるんだろう
見せてくれ 」
『 し、してないよ? 』
「 いいから 」
まだ恍けるつもりか、あからさまに目を逸らす彼女の嘘はバレバレで。
きっと、腕だ
少し無理矢理だが、Aの服の袖を捲り腕を確認する
「 !
結構深い傷じゃないか…! 」
『 あ、はは 』
血は止まっているものの、結構深い腕の傷
「 何で隠すんだ 」
『 だってこんなのかっこ悪いじゃない 』
「 かっこ悪い? 」
前に鱗滝さんから貰った傷薬をAの腕に塗りながらそう聞けば
『 私が弱いから
弱いからこんな傷、受けたの 』
下弦ですらない、鬼に。
と、そんな鬼から食らったその腕の傷を見つめながら悔しそうに、でもどこか諦めたような顔で言うA
「 Aは、弱くない 」
弱いわけ、ないだろ
この傷を受けたのだって、理由があるのを俺は知ってる
子供を庇いながら闘ったんだろ、他の隊士から聞いたんだ
「 Aは弱くない
弱くないから、庇った子供は無傷だったんだろう 」
『 ッ、なんで、それを 』
「 聞いたんだよ
…ごめん、俺 」
Aが一人大変だった時俺は、違う鬼との対戦で手一杯で
助けに行くことも、力になることも出来なかった
腕の傷が痛々しいから、余計に悔しくなる
『 謝ること、ないのに 』
私こそ、傷隠してごめんねって
申し訳なさそうに眉を下げるA
「 でも本当に、無事でよかった… 」
『 うん
炭治郎もね 』
Aの怪我が、まだ腕だけで済んでいたから
それだけが救いだ
あの時に助けに行けなかった悔しさとか、今ここに生きてる嬉しさとか、色んな感情が渦巻いて
どうしようもない自分の気持ちと共にAを抱き締めれば、あちらも抱きしめ返してくれる
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「 痛いだろ、腕 」
『 炭治郎が抱きしめてくれたから治ったよ 』
「 もう、そんなわけないだろ 」
『 あはは 』
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しゃび(プロフ) - ミミさん» コメントありがとうございます。1から見ていただけて嬉しいです!個人的に一番炭治郎のお話を書くのが難しいと思ってるのですが、この作品で更に好きになって頂けたようで嬉しく思います。 忙しくて中々こちらに来れないのですが、後ほどボード確認しますね! (2020年3月26日 11時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
ミミ(プロフ) - 1からイッキ見しました!しゃびさんの作品で以前より炭治郎が好きになりました!ボードにも数日前に書き込みましたので見てって欲しいです。好みどストライクでした! (2020年3月26日 10時) (レス) id: ddeda9ef75 (このIDを非表示/違反報告)
しゃび(プロフ) - あいすさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。続編も期待してくださってありがとうございます。私個人としても続編を作りたいと思っているのでそちらが出来た際にはお暇な時にでも読んでいただけたら嬉しく思います! (2020年3月23日 1時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
あいす - 完結おめでとうございます!!この作品大好きなので、続編期待しています! (2020年3月22日 16時) (レス) id: 3a45dfb233 (このIDを非表示/違反報告)
しゃび(プロフ) - ミナさん» コメントありがとうございます。沢山の方々に読んでいただけたおかげで楽しく最後まで書くことが出来ました。続編は後々作ろうかなと考えていますので、そちらが出来たらまたお暇な時にでも読んでいただけたら幸いです。 (2020年3月21日 22時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃび | 作成日時:2020年1月15日 19時